元警察官・元入管法事件捜査員の行政書士が、入管業務を専門にする理由
元警視庁捜査員の行政書士としてのご挨拶
はじめまして。行政書士の毛呂(もろ)です。
なぜ私が入管業務(ビザ・在留資格・外国人雇用)を専門に選んだのか。現場で見てきた経験と、これから大切にしたい支援の姿勢をお話しします。
はじめに
このたび、当事務所の公式サイトを開設し、ブログをスタートすることになりました。
最初の記事では、ご挨拶を兼ねて、「なぜ私が国際業務(ビザ・在留資格・外国人雇用)を専門に選んだのか」について、少しお話しさせてください。
用語について
厳密には、「ビザ(査証)」は在外公館が発給するもの、「在留資格」は入管が付与するもので、両者は異なります。ただ、一般には在留資格のことを「ビザ」と呼ぶ場面も多いため、ホームページ内でも読みやすさを優先して「ビザ」という言葉を使うことがあります。
このブログは、主に次のような方に向けて発信していきます。
- 日本で働きたい・暮らしたいと考えている外国人の方
- 外国人材の雇用を検討している、あるいはすでに雇用している企業の人事・採用ご担当者の方
最新の入管関連法令と実務をふまえた情報を、できるだけわかりやすくお届けする場にしていきたいと思っています。
少し長くなりますが、最後までお付き合いいただけたら嬉しいです。
この記事でお伝えしたいこと
私の経歴
行政書士になる前、約20年間、警視庁の警察官として勤務し、そのうち約10年間は入管法違反事件の捜査に従事してきました。
現場で見た課題
外国人本人も企業も、最初から違反するつもりではなく、制度を知らないまま問題が大きくなるケースを多く見てきました。
専門に選んだ理由
取り締まる側から、未然に防ぐ側へ。正しい道筋を示す支援が必要だと感じたことが出発点です。
支援の方針
抜け道を探るのではなく、正しい方法で在留・雇用できるよう、お客様と一緒に最適な道筋を考えます。
捜査員として見てきた現場
私は、捜査員時代に、警察として認知した入管法違反事件の捜査に従事し、不法残留(オーバーステイ)、不法就労(資格外活動)、偽造在留カード関連事件などを扱ってきました。
その間、たくさんの外国人や雇用主の方と接してきました。そこには、教科書やネット情報だけではわからない「現場のリアル」があります。
「最初から法を犯すつもりだった人」ばかりではない
捜査の現場で感じたことがあります。
もちろん、最初からオーバーステイや不法就労を目的に来日する外国人もいますし、安く雇えるからという理由で、在留資格がないことを知りながら雇用する企業もあります。
しかし、摘発される外国人や企業の中には、最初から法律を犯すつもりがあったわけではないケースも意外と多いです。
たとえば、こんな事例を何度も見てきました。
- 安い給料で長時間働かされ、ひどい場合はパスポートを取り上げられるなど、劣悪な労働環境から逃げ出した外国人。逃げた先で在留期間が切れ、生活のために不法就労せざるを得なくなり、結局また安く搾取されるという悪循環。
- 一生懸命働いてくれていた外国人スタッフを心から信頼していたのに、実はその外国人がオーバーステイで、面接時に偽造在留カードを示して身分を偽装していたケース。雇用主は「あの子はめちゃくちゃ頑張ってくれていますよ。何かの間違いじゃないですか」と当初は信じられず、事実を知ってから愕然としていました。
後者のケースでは、雇用主は一見すると「騙された被害者」です。
ですが、入管法上、不法就労助長罪については、「知らなかった」というだけでは雇用主の責任を免れず、過失がなかったといえるだけの確認体制や記録が重要になるという規定があります(入管法第73条の2第2項)。この点については、別の記事「不法就労助長罪とは|企業が『知らなかった』では済まない外国人雇用のリスク管理」で改めて詳しくお話しします。
企業側にも求められる視点
「うちは大丈夫」「うっかりミスでした」だけでは、企業も事業主個人も守り切れない時代になっています。
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「もっと手前で誰かが正しく導けたら」
捜査の現場でこうした人々を見るたびに、私は強く感じていました。
「もっと手前の段階で、正しい道筋を示せたり、適切なアドバイスができる人がいれば、この人たちの人生は違っていたんじゃないか」
外国人ご本人にとっても、雇用する企業にとっても、です。
「制度を正しく知らなかった」「相談できる人がいなかった」だけで、人生やキャリア、会社の信用が大きく揺らいでしまう。その現実を、現場で何度も目の当たりにしてきました。
だからこそ私は、行政書士となった際に、国際業務を専門にすることを選びました。
取り締まる側から、未然に防ぐ側へ。
捜査官として培った知識と経験を、今度は「外国人の方が日本で堂々と暮らしていくため」「企業の方が安心して外国人雇用に取り組めるようにするため」に使いたいのです。
捜査員時代の経験は、国際業務にどう活きるのか
ここで少しだけ、私が捜査員時代の経験を「ビザ申請」という仕事にどう重ねているか、お話しさせてください。
ビザ申請は、一般的な許認可申請とは性質が少し違う(人によっては全く別物)と感じています。
一般的な許認可申請では、形式的な補正の機会が比較的わかりやすい場面もあります。しかし、在留資格の申請では、書類を揃えただけでは足りません。
入管庁のホームページには必要書類や要件が細かく載っていますが、それを揃えるのは、いわば「ようやくスタートラインに立てた」状態です。実際の審査では、次のような点が見られます。
| 審査で見られる主な点 | 意味 |
|---|---|
| 在留資格該当性 | 活動内容が、その在留資格に当てはまるか。 |
| 上陸基準適合性 | 法務省令の基準を満たしているか。 |
| 相当性 | その人にその在留資格を認めることが適切か。 |
これらを、申請する側が入管に対して資料と説明で示していく必要があります。在留資格認定証明書については入管法第7条の2、在留資格変更・在留期間更新については同法第20条・第21条等が関係します。立証や説明が不十分な場合、追加資料の提出を求められることもありますが、そのまま不許可となるケースもあります。
この「資料を集め、事実関係を整理し、相手が判断できる形に論理を組み立てる」という作業は、捜査機関が裁判所に逮捕状や捜索差押許可状を請求するときの思考プロセスと重なる部分があります。
「なぜこの人を逮捕する必要があるのか」「なぜこの場所を捜索する必要があり、それが相当なのか」を、資料と説明で裁判官を納得させる。決まった文章を埋めるだけではなく、事案ごとに論理を組み立てる必要があります。
私は捜査員時代、こうした令状請求のための疎明資料をいくつも作成してきました。また、捜査の過程で入管に申請書類を照会することもありました。
「働きたいがために、こういう内容で申請していたのか」
「一度不許可になったが、こういう切り口に変えたことで許可につながったのか」
といった、申請内容と許否判断の関係を、通常とは違う角度から考える経験を積んできました。
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自身の強みだと感じる共通点
「捜査員が裁判所に対してする疎明」と、「行政書士が入管に対してする立証」。厳密な法律用語でいえば疎明と立証は程度に違いはあると思いますが、この共通点こそが、自分がこの業界でやるべきことの意義を感じています。
事務的なスピードや効率の面では、ビザ申請を長年専門にされてきた専門家の方には到底かないません。それでも私には、審査する側、違反する側、捜査する側という複数の視点を持っています。それぞれの考えや言い分を、現場で見てきた者として理解しているつもりです。
自分には
教科書通りの手続きには現れない「実務の急所」を押さえたサポートができるのではないかと考えています。
結びに
少子高齢化が進む日本にとって、外国人材の存在はもはや不可欠です。
一方で、制度を正しく理解しないまま雇用や在留を続けると、外国人本人の人生も、雇用する企業の信用も、ある日突然崩れてしまうリスクがあります。
私は、警察官として「崩れた後」を見てきた立場だからこそ、「崩れる前」のお手伝いをしたいと思っています。
お客様の申請が許可されるのに何かが足りていないとすれば、「抜け道を探る」のではなく、「いかに正しくで在留できるか、雇用できるか」を考え抜きたいです。
抜け道により進んだ先には、結局矛盾が生じるなど、将来的に道を狭めてしまうと考えるからです。決められた制度や運用の中で、お客様と一緒に頭をひねりながら、最適な道筋を探していきます。
- 外国人の方には、日本で堂々とキャリアアップを実現していただきたい。
- 企業の皆さまには、安心して外国人材の雇用に取り組み、組織を成長させていただきたい。
両者が、お互いに胸を張って共に生きていける社会「秩序ある共生」を実現するための精一杯のサポートをすることが、当事務所のポリシーです。
お気軽にご相談ください
当事務所では、外国人ご本人の在留資格に関するご相談、企業の外国人雇用に関するご相談を承っています。
外国人ご本人の方へ
- 就労ビザ(技術・人文知識・国際業務、特定技能など)の新規取得・変更・更新
- 配偶者ビザ、永住許可申請
- 過去に不許可になったが、再申請したい
- 自分の経歴で取れるビザがあるかわからない
企業のご担当者へ
- これから外国人を採用したいが、どの在留資格で雇うべきかわからない
- 採用候補者の在留資格に問題がないか確認したい
- 在留管理・雇用管理の社内体制を整備したい
- 不法就労リスクを点検したい
ご相談について
「こんなこと聞いていいのかな」というレベルの疑問でも、お気軽にどうぞ。お問い合わせフォームまたはお電話でご相談の予約を承っています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
これからこのブログでは、最新の入管法令の動向、在留資格ごとの実務ポイント、企業の外国人雇用などをテーマに、なるべく単なる制度解説で終わらないよう、実務で経験した事例も交えながら、皆様にとって役立つ情報を発信していきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
※本記事の内容は執筆時点の情報に基づきます。法令・運用は変更されることがありますので、実際の申請にあたっては最新情報をご確認いただくか、当事務所までご相談ください。
