別居・離婚調停中でも配偶者ビザは更新できる?|夫・妻が更新書類に協力してくれない場合
元警視庁入管法捜査員の行政書士が解説
別居しただけでは、配偶者ビザは取り消されません。問題は、説明しないまま更新申請を出すことです
出入国在留管理庁は、配偶者としての活動を6か月以上行っていない場合でも、離婚調停中やDVによる一時避難などの正当な理由があるときは在留資格を取り消さないと公表しています。別居の事実を隠したまま更新申請を出すことだけは、絶対に避けてください。6か月ルールの読み方、14日以内の届出の要否、配偶者が書類に協力しない場合の対処法を、条文と公式情報に沿って整理します。
日本人と結婚して「日本人の配偶者等」の在留資格で暮らしている方から、このようなご相談を受けることがあります。
まず押さえていただきたいのは、別居しているという事実だけで、その日から在留資格がなくなるわけではないということです。入管庁は、配偶者としての活動を継続して6か月以上行っていない場合でも、正当な理由があるときは在留資格を取り消さないとしており、その具体例として「離婚調停又は離婚訴訟中の場合」「配偶者からの暴力(DV)を理由として一時的に避難又は保護を必要としている場合」などを公表しています。
一方で、放置してよいわけでもありません。何の説明もしないまま更新申請を出せば、不許可や在留資格取消しにつながることがあります。
私は警視庁で入管法違反事件の捜査を担当した後、入管業務を専門とする行政書士になりました。本記事では条文と入管庁の公表資料を示しながら、審査する側が別居のどこに疑いの目を向け、どの書類を突き合わせて矛盾を探すのかという裏側の視点も含めて解説します。
※本記事では、一般に使われる「配偶者ビザ」という言葉を、在留資格「日本人の配偶者等」および「永住者の配偶者等」のうち、配偶者の身分に基づくものの意味で使用します。個別の判断は最新の公式情報をご確認いただくか、専門家へご相談ください。
目次
この記事のポイント【先に結論】
1.別居しただけで配偶者ビザは取り消される?|「6か月ルール」の正しい読み方
在留資格の取消しは入管法第22条の4に定められており、このうち「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」に関係するのが第1項第7号です。配偶者の身分を有する者としての活動を継続して6か月以上行わないで在留していること、と定められています。ただし、そのことに正当な理由がある場合は除かれます。
条文が問題にしているのは「別居」ではなく「配偶者としての活動」
条文に「別居」という言葉は出てきません。問題にされているのは、配偶者としての活動を行っているかどうかです。
単身赴任や子の学校の事情で住所が分かれていても、生活費を分担し、連絡や行き来が続いていれば、配偶者としての活動が失われたとは限りません。反対に、同じ家に住んでいても実態がなければ、活動があるとは評価されません。
また、必要なのは「継続して6か月以上」という期間です。1か月や2か月の別居が、そのまま取消事由になるわけではありません。
取消しは自動ではない|意見の聴取と、在留資格変更の機会
6か月が過ぎたら自動的に在留資格がなくなる制度ではありません。取消しの手続では対象となる外国人から意見の聴取が行われ、本人は意見を述べ、証拠を提出することができます。
さらに入管法第22条の5は、この第7号を理由に取消しをしようとする場合、在留資格変更許可申請または永住許可申請の機会を与えるよう配慮しなければならないと定めています。日本国籍の実子を監護・養育しているなどの事情があれば、「定住者」など他の在留資格への変更が認められる場合があります。
別居を放置すると、離婚後の「定住者」も、永住申請も遠のく
見落とされがちですが、別居の放置は将来の選択肢そのものを狭めます。
離婚後に「定住者」へ変更して日本に残る場合、審査では実質的な婚姻期間、つまり夫婦として同居し生活を共にしていた期間が重視されます。ここで問題になるのが、別居期間は「通常の婚姻生活」として評価されにくいという点です。戸籍上の婚姻期間が長くても、その多くが別居であれば、実質的な婚姻期間は短いと見られます。
なお、必要な同居期間に公表された明文の基準はなく、実務家の見解も、日本国籍の子がいない場合におおむね3年以上とするものから、より長期を要するとするものまで分かれます。共通しているのは、別居期間はその年数に算入されにくいという点です。
同じことが、永住許可にも当てはまります。永住許可に関するガイドライン(令和8年2月24日改訂)は、原則10年在留の特例として、日本人・永住者・特別永住者の配偶者について「実体を伴った婚姻生活が3年以上継続し、かつ、引き続き1年以上本邦に在留していること」を挙げています。ここでも問われるのは戸籍上の年数ではなく、実体を伴った期間です。
2.別居の「正当な理由」とは?|入管庁が公表する4つの具体例
出入国在留管理庁(当時の法務省入国管理局)は、運用の透明性を高める観点から、取消しを行わない主な事例を公表しています。
| 公表されている例 | どういう状況か | 主な裏づけ資料 |
|---|---|---|
| ①DVによる一時避難 | 配偶者からの暴力を理由として、一時的に避難または保護を必要としている場合 | 相談記録、保護命令関係資料、診断書 |
| ②子の養育等による別居 | やむを得ない事情で別居しているが、生計を一にしている場合 | 送金記録、家計を示す資料、学校関係書類 |
| ③本国親族の傷病等による長期出国 | 再入国許可(みなし再入国許可を含む)により長期間出国している場合 | 診断書、渡航記録、旅券の出入国スタンプ |
| ④離婚調停中・離婚訴訟中 | 家庭裁判所で手続が進行している場合 | 事件係属証明書、期日呼出状、訴状の写し |
入管庁のQ&Aでも、子の親権を巡る離婚調停中の場合や、日本人配偶者の有責性を争う離婚訴訟中の場合が例として挙げられています。
ただし、この4つに当てはまれば必ず在留が認められるわけではありません。公表資料自体が、判断は個別・具体的な状況に基づき、この具体例に限定されないと明記しています。自分の状況がどれに近いのかを整理し、それを裏づける資料を用意することが大切です。
3.別居中の配偶者ビザ更新で、入管はどこを見ている?
在留資格取消しの6か月と、更新の審査は別の話です。更新申請では、6か月経っていなくても、現在も在留資格に該当する状況があるか(在留資格該当性)と、更新を認めることが相当か(相当性)が審査されます。
審査で確認されやすい6つのポイント
- いつから、どのような経緯で別居しているか
- 別居はいつまで続く見込みか
- 現在も連絡や行き来があるか
- 生活費や家賃をどちらがどのように負担しているか
- 同居を再開する予定か、それとも離婚に向かっているか
- 離婚に向かっている場合、どの段階(協議・調停・訴訟)にあるか
更新の必要書類には「質問書」も「交流資料」も入っていない
「日本人の配偶者等」の更新で入管庁が案内している必要書類は、申請書と写真、配偶者(日本人)の戸籍謄本、滞在費用を証明する資料、配偶者(日本人)の身元保証書、配偶者(日本人)の世帯全員の住民票、旅券と在留カードの提示です。
認定申請や変更申請と違い、質問書や夫婦間の交流資料は含まれていません。
つまり、別居の事情を説明する資料は、こちらから任意で足すことになります。何も足さずに出せば、住民票の住所が分かれているという事実だけが審査官に伝わります。
4.別居したら14日以内に入管へ届出が必要?|離婚の届出との違い
ここは誤解が非常に多いところです。
14日以内の届出が必要なのは「離婚・死別」したとき
入管法第19条の16第3号により、「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「家族滞在」で在留する方のうち、配偶者としての身分が在留資格の基礎になっている方は、離婚または死別したときに、その日から14日以内に入管へ届け出る必要があります。届出をしなかった場合、20万円以下の罰金に処せられることがあります(入管法第71条の5第3号)。
一方、別居しただけでは、この届出の対象になりません。義務が生じるのは、離婚が成立した日(協議離婚なら離婚届が受理された日、調停離婚なら調停成立の日など)です。
別居で引っ越したときは、市区町村への住居地の届出が必要
住所を移した場合は、別の届出が必要です。中長期在留者は、住居地を移転した日から14日以内に、新住居地の市区町村へ住居地の届出をしなければなりません(入管法第19条の9第1項)。在留カードを持参して転入・転居届をすれば、入管への届出をしたものとみなされます。住居地の届出をしないこと自体が、取消事由にもなり得ます。
| 出来事 | 届出の要否 | 届出先 | 期限 |
|---|---|---|---|
| 別居した | 入管への届出は不要 | ― | ― |
| 別居に伴い引っ越した | 住居地の届出が必要 | 新住居地の市区町村 | 移転から14日以内 |
| 離婚・死別した | 配偶者に関する届出が必要 | 出入国在留管理庁 | 成立から14日以内 |
▶ 14日以内の届出のしくみは、こちらの記事で詳しく解説しています
5.夫・妻が協力しない|戸籍謄本・身元保証書がなくても更新申請はできる?
以外に悩みが多いのがここです。結論から言えば、配偶者が協力しなくても申請はできます。
配偶者が戸籍謄本を取ってくれない|外国人配偶者本人が請求できます
前提として、外国人配偶者自身の戸籍というものは存在しません。日本人が外国人と結婚すると、その日本人について新しい戸籍が作られ、身分事項欄に外国人配偶者の氏名・国籍が記載されます。入管に提出するのは、この日本人配偶者の戸籍謄本です。
そして多くの方が誤解していますが、この戸籍謄本は外国人配偶者本人が請求できます。戸籍法第10条第1項が、戸籍に記載されている者のほか、その配偶者、直系尊属、直系卑属も請求できると定めているからです。戸籍に「入る」わけではなくても、法律上の配偶者であれば請求権があります。
請求方法は、本籍地の市区町村への窓口請求または郵送請求が基本です。2024年(令和6年)3月1日からは「広域交付」が始まり、本籍地以外の最寄りの窓口でも請求できるようになりました。ただし本人が窓口へ行くこと、顔写真付きの本人確認書類が必要であることなどの条件があり、取扱いも自治体によって異なるため、事前に確認してください。
別居中で、配偶者の住民票が取れない
別居して世帯が分かれている場合、配偶者の住民票を同一世帯員として請求することはできません。住民基本台帳法第12条の3の第三者請求という方法もありますが、認められるかどうかは市区町村の判断になります。
実務的には、まず自分の分を取得し、配偶者の住民票を提出できない理由を理由書で説明したうえで申請します。
身元保証書を書いてくれない|友人や勤務先の上司でもよいか
入管庁の案内では、身元保証人には日本に居住する配偶者(日本人)になっていただきます、とされています。
しかし身元保証書は、法律上の保証契約のような強制力を持つ書類ではなく、道義的責任を明らかにするものと説明されています。配偶者が署名しないことを理由に、更新申請の受理そのものが拒まれるわけではありません。
対応は次の順で検討します。
- 署名を得られない事情を理由書に具体的に書き、身元保証書を付けずに申請する
- 離婚調停中・訴訟中で配偶者が保証人になり得ない場合は、その事情を明記する
- 日本に居住する友人や勤務先の上司など、代わりになり得る方を検討しておく
ただし、勝手に配偶者の名前を書いて提出することは絶対にしないでください。虚偽の文書を提出すれば、更新が不許可になるだけでなく、より重い問題に発展します。
配偶者の課税証明書・納税証明書がそろわない
入管庁の案内では、「申請人が自ら滞在費用を支弁する場合は、申請人の住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明書を提出してください」とされています。
別居中で自分の収入で生活しているのであれば、自分の課税・納税証明書に給与明細や預貯金通帳の写しを添え、その旨を理由書で説明します。生活が成り立っていることを自分で示せるかどうかが重要です。
別居の経緯と、そろえられる書類を一緒に整理します
配偶者が書類に協力してくれない、調停中で先が見えない、別居が6か月に近づいている――在留期限が迫る前に、現在の状況をご相談ください。
6.離婚調停中・離婚訴訟中のビザ更新|裁判所から取る書類は?
離婚調停中・離婚訴訟中であることは、入管庁が公表している正当な理由の例に含まれています。その事実を客観的に示す資料が中心になります。
- 家庭裁判所が発行する事件係属証明書
- 調停期日呼出状、調停申立書の写し
- 訴状の写し、答弁書の写し
- 代理人弁護士の受任通知や連絡文書
これに加えて、自分の収入資料(課税・納税証明書、給与明細)、賃貸借契約書、子どもがいる場合は監護・養育の状況が分かる資料などで、現在の生活を説明します。
なお、離婚調停中を理由に更新が認められた場合、在留期間が「6か月」など短めに指定されることがあります。手続の結論が出るまでの在留を認める趣旨だと理解しておくとよいでしょう。
7.DVで避難している場合、配偶者ビザはどうなる?
配偶者からの暴力を理由に一時的に避難している場合も、入管庁が公表する正当な理由の例に含まれています。また入管庁のQ&Aでは、住居地の届出をしないことに正当な理由があると認められる例として、DV被害者が加害者に所在を知られないようにするため住居地の変更を届け出なかった場合が挙げられています。
DV被害がある場合は、まず身体の安全を確保することが最優先です。そのうえで、配偶者暴力相談支援センター、警察、市区町村の窓口などに相談し、記録を残してください。住民基本台帳事務における支援措置を申し出れば、住民票の閲覧等を制限できる場合があります。
在留手続では、相談記録、保護命令に関する資料、診断書などが説明の裏づけになります。「相手に知られたくないので誰にも相談していない」という状態が続くと、事実を示す資料が残らないという難しさが生じます。
8.別居中の更新|理由書の書き方と、書いてはいけない4つの表現
別居中の更新では、理由書の役割が大きくなります。
理由書に必ず入れる項目
前記3で挙げた6つのポイント(別居の開始時期と経緯、期間の見込み、連絡や行き来、生活費の負担、同居再開の予定、離婚手続の段階)に、次の2点を加えます。
- 子どもがいる場合は、監護・養育の状況
- 提出できない書類がある場合は、その理由
書いてはいけない4つの表現
理由書は、相手を責める場ではなく、現在の状況を客観的に説明し、提出資料と一本の線でつなぐための書面です。
▶ 入管から追加資料を求められたとき、不許可になったときの対応はこちらです
9.元警視庁捜査員の視点|審査官は別居のどこに疑いの目を向けるか
ここからは、審査する側の頭の中を説明します。入管の在留審査には、警察の捜査と共通する考え方が間違いなくあると感じます。
審査官が最初に見るのは「日付が合っているか」
捜査する際に最初に整理するのは時系列です。供述がどれだけもっともらしくても、日付が合わなければ話は進みません。入管の審査も同じで、別居の申請では次の日付が突き合わされます。
- 住民票に記載された異動日
- 新しい住居の賃貸借契約の締結日
- 生活費の送金が止まった日、または始まった日
- 調停申立書の受付日、事件係属証明書の日付
- 理由書に本人が書いた「別居の開始日」
これらはそれぞれ別の機関が作った書類ですから、突き合わせれば嘘がつけません。理由書に「今年の春から別居」と書いてあるのに住民票の異動が2年前になっていれば、その一点で説明全体が疑わしくなります。
一つの矛盾は、申請全体の信用性を崩す
捜査では、供述の一部に嘘が見つかると、その人の話全体の信ぴょう性がなくなり、慎重に裏付けをしていくことになります。一つ崩れたものは、他も崩れている可能性が高いからです。
在留審査でも同じでしょう。矛盾が一つ見つかると、審査官は「この人は何を隠そうとしているのか」という前提で他の書類を確認することになり、本来なら説明で足りたはずの事情まで、追加資料を求められることになります。
ここで強調したいのは、悪意がなくても審査する側にとってみれば同じということです。「勘違いだった」「日付を覚えていなかった」という事情は、書面からは読み取れません。審査する側から見えるのは、事実と違うことが書かれているという結果だけです。
不利な事実こそ、先に自分から書く
取調べでも、都合の悪いことを最後まで隠していた人より、最初から正直に話した人の説明の方が信用されます。
在留審査も同じです。別居期間が2年あるなら、2年と書く。そのうえで、その間どう生計を維持し、いつ調停を申し立て、今どの段階にあるのかを示す。この順番で書かれた理由書は、審査官にとって「確認しやすい書面」になります。
逆に、不利な事実を書かずに出せば、それが住民票や課税証明書から判明した瞬間、隠していたと受け取られます。同じ事実でも、自分から書くか見つかるかで、評価は大きく変わります。
絶対にやってはいけない3つの対応
いずれも、その場はしのげるように見えます。しかし在留審査は一度で終わりません。次の更新、永住許可申請、帰化申請と記録が積み重なり、過去の申請書は入管に残って後の申請と突き合わせられます。
そして虚偽の書類を提出した場合、問題は不許可にとどまりません。虚偽の届出には罰則が定められており、在留資格の取消しや退去強制につながる場合もあります。別居という、正しく説明すれば認められ得る事情のために、それより重い問題を背負う必要はありません。
▶ 在留資格別のサポート内容は、こちらのページでご案内しています
10.別居中の配偶者ビザ更新|提出前チェックリスト
11.よくある質問|別居・離婚調停中の配偶者ビザ
Q1.別居中に引っ越しました。何をすればよいですか?
移転した日から14日以内に、新住居地の市区町村で住居地の届出をしてください。在留カードを持参して転入届・転居届を行えば、入管への届出をしたものとみなされます。DV被害があり住所を知られたくない場合は、届出の前に市区町村の窓口や配偶者暴力相談支援センターへ相談してください。
Q2.審査の途中で離婚が成立したら、更新申請はどうなりますか?
まず離婚した日から14日以内に入管へ届け出てください。そのうえで、審査中の申請についても状況が変わったことを申請先へ伝えます。婚姻を前提とした更新申請は、そのままでは前提が失われています。
その後の選択肢は、日本人と再婚するか、就職して「技術・人文知識・国際業務」等へ変更するか、要件を満たせば「定住者」へ変更するか、といった形です。ただし「技術・人文知識・国際業務」には学歴や職務内容の要件があり、誰でも変更できるわけではありません。離婚が成立する前に進む先を検討しておくことが大切です。
なお、離婚が成立した後は、離婚の日から6か月がひとつの区切りになります。お勤めの方は、変更申請中も今の仕事を続けられるのか、変更先によって仕事が変わるのかも気になるところだと思います。この点は、企業のご担当者向けに書いた離婚した社員は、いつまで雇えるかで時系列に整理しています。お勤めの方が読んでも、そのまま当てはまる内容です。
Q3.更新は許可されましたが、在留期間が「6か月」でした。これはどういう意味ですか?
在留期間は、5年、3年、1年、6か月から個別の事情に応じて指定されます。状況が流動的な場合に短い期間が指定されることがあり、直ちに次回が不許可という意味ではありません。
なお永住許可のガイドラインでは、現に有する在留資格の最長の在留期間をもって在留していることが要件とされています。従来は在留期間「3年」でもこれに当たるものとして取り扱われてきましたが、この取扱いは令和9年(2027年)4月1日から改められる予定です。別居中の更新で「1年」や「6か月」が続くと、永住申請の時期はさらに遠のく点に注意してください。
Q4.別居中に母国の家族に会いに行きたいのですが、問題ありませんか?
有効な旅券と在留カードがあれば、みなし再入国許可により1年以内(在留期限が先に来る場合はその日まで)の出国と再入国ができます。出国時に再入国出国記録の該当欄へチェックを入れてください。
ただし、更新申請は本人が日本にいないとできません。また、3か月を超えるような長期の出国は、将来の永住許可や帰化申請で求められる継続在留の年数に影響することがあります。出国前に手続の順序を確認しておくことをおすすめします。
12.まとめ|別居は「隠す」のではなく「整理して説明する」
別居中や離婚調停中の配偶者ビザで最も避けるべきなのは、事実を隠したまま更新申請を出すことです。
別居と6か月の取消制度と離婚後14日以内の届出を区別し、自分の状況が入管庁の公表する正当な理由のどれに近いかを整理する。調停・訴訟中であれば裁判所の資料で示す。配偶者が協力しない書類は、自分で取れるものを取り、取れない理由を書面で説明する。これが対応の基本です。
入管が別居中の申請で見ているのは、住民票の住所が同じかどうかだけではありません。別居の経緯、現在の生計、手続の進行状況、そして提出された資料全体が、無理なく一本の線でつながっているかどうかです。
別居中の配偶者ビザ更新でお困りの方へ
次のような方は、在留期限が迫る前にご相談ください。
別居の経緯と生活の実態を、一本の線に整理します
当事務所では、元警視庁入管法捜査員としての経験をもとに、別居の経緯と現在の生活状況を整理し、更新申請で必要となる資料、理由書、他の在留資格への変更の見通しを確認します。
在留期限が迫る前に、現在の状況をご相談ください。
【法令・情報の根拠】
- e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法」(第19条の9、第19条の16、第22条の4、第22条の5、第71条の5)
- 出入国在留管理庁「配偶者の身分を有する者としての活動を行わないことに正当な理由がある場合等在留資格の取消しを行わない具体例について」
- 出入国在留管理庁「在留資格の取消し(入管法第22条の4)」
- 出入国在留管理庁「在留管理制度あれこれ Q&A」(Q88、Q97、Q98、Q118、Q120)
- 出入国在留管理庁「在留資格『日本人の配偶者等』(申請人が日本人の配偶者である場合)」(提出書類一覧)
- 出入国在留管理庁「在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン」
- 出入国在留管理庁「永住許可に関するガイドライン」(令和8年2月24日改訂)
- 出入国在留管理庁「住居地の届出」
- e-Gov法令検索「戸籍法」(第10条、第120条の2)
- 法務省「戸籍法の一部を改正する法律について」(令和6年3月1日施行・戸籍証明書等の広域交付)
- e-Gov法令検索「住民基本台帳法」(第12条、第12条の3)
※本記事は2026年8月時点の法令・公表情報に基づく一般的な解説です。在留資格取消しの判断や更新の可否、提出すべき資料は個別の事情により異なります。法令、運用、申請様式は変更されることがありますので、実際の対応にあたっては最新の公式情報をご確認いただくか、専門家へご相談ください。
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毛呂 敦(もろ あつし)
|
入管業務を専門とする行政書士。警視庁で約20年間勤務し、うち約10年を国際捜査官として入管法実務に従事。現場で得た知見を活かし、東京・多摩地区(ご相談場所は立川駅)を拠点に、外国人のビザ申請と企業の外国人雇用をサポートしています。 |
