就労ビザで会社を辞めたら3か月で取消し?退職後の届出と転職活動
元警視庁入管法捜査員の行政書士が解説
退職しただけで就労ビザは失効せず、3か月で自動的に取り消されるわけでもありません
会社を辞めただけで就労ビザが失効するわけではなく、退職から3か月たった日に自動的に取り消されるわけでもありません。ただし、「3か月は何をしていても大丈夫な猶予期間」と考えるのは危険です。退職後の届出、転職活動の記録、アルバイトの注意点、再就職後の手続を、公式情報に沿って整理します。
この問題が分かりにくいのは、在留資格の取消し・在留期限・更新審査という三つの別の制度が、「3か月」という一つの数字に混ぜて語られているからです。この記事では、その三つを分けて整理します。
※本記事では、一般に使われる「就労ビザ」という言葉を、就労を目的とする在留資格の意味で使用します。主に「技術・人文知識・国際業務」などで会社と契約して働く方を想定しています。在留資格によって転職時の手続は異なりますので、個別の判断は最新の公式情報をご確認いただくか、専門家へご相談ください。
目次
この記事のポイント【先に結論】
1.就労ビザの「3か月ルール」とは|入管法第22条の4第1項第6号
根拠となるのは、入管法第22条の4第1項第6号です。
同号は、入管法別表第一の在留資格で在留する人が、その在留資格に応じた活動を継続して3か月以上行わずに在留している場合、法務大臣が在留資格を取り消すことができると定めています。ただし、本来の活動を行わずに在留していることについて「正当な理由」がある場合は除かれます。
ここで重要なのは、次の4点です。
POINT 1条文は「取り消される」ではなく「取り消すことができる」
3か月を経過しただけで、コンピューター上で在留資格が自動的に消える制度ではありません。取消しの対象となる事情があるかを調査し、取消手続を経て判断されます。
POINT 2基準は「退職後3か月」ではなく「本来の活動を3か月以上していない」
実務では退職日が重要な起点になりますが、法律が見ているのは雇用契約の形式だけではなく、在留資格に応じた活動の実態です。すべての事案を機械的に「退職日の翌日から90日」と計算できるわけではありません。条文は「3か月」であり、「90日」と書いているわけでもありません。
POINT 3「正当な理由」があれば、3か月を超えても直ちに取消対象とはならない
出入国在留管理庁は、退職後に会社訪問をするなど、再就職先を探すための具体的な就職活動を行っていると認められる場合を、「正当な理由」がある例として示しています。
POINT 4高度専門職2号だけは「6か月」
同号のかっこ書きにより、高度専門職2号は3か月ではなく6か月とされています。高度専門職1号はこの特例の対象ではありません。また、在留期限や他の取消事由まで6か月間問題にならない、という意味でもありません。
「3か月は安全な猶予期間」という理解が危険な理由
入管法第22条の4第1項第5号は、本来の在留活動を行っておらず、正当な理由なく他の活動を行い、または行おうとして在留している場合も取消事由としています。
たとえば、退職後は転職活動をせず、現在の就労ビザでは認められない単純労働や別の事業を始めているようなケースは、「まだ退職から3か月以内だから大丈夫」とはいえません。資格外活動違反の問題にもつながります。
3か月は「その期間だけは何をしてもよい」という猶予期間ではありません。本来の活動をしていない状態が長期化したときの取消事由を定めた期間だと理解してください。
2.取消し・在留期限・更新審査はそれぞれ別の制度
「3か月で取り消されるのか」を考えるときは、次の三つを分けて整理する必要があります。
| 制度 | 内容 |
|---|---|
| 在留資格の取消し | 在留期限が残っていても、入管法第22条の4の取消事由に該当すると判断された場合に行われる手続です。取消しをしようとするときは、入国審査官が本人から意見を聴取することとされ、本人は意見を述べ、証拠を提出し、資料の閲覧を求めることができます。 |
| 在留期間の満了 | 在留カードに記載された在留期間満了日が来ることです。退職後3か月を経過していなくても、在留期限が先に来れば、更新や変更の許可を受けない限り在留を続けることはできません。 |
| 在留期間更新許可申請 | 現在の在留資格で引き続き在留するための申請です。今後も在留資格に応じた活動を行う見込み、これまでの在留状況、届出義務の履行、納税や社会保険などが総合的に見られます。 |
取り消された場合、すぐ帰国しなければならない?
在留資格の取消しには、二つのパターンがあります。偽りその他不正の手段で上陸許可等を受けた場合(第1号・第2号)は、直ちに退去強制の対象となります。一方、本来の活動を行っていないこと(第5号・第6号)などを理由とする取消しでは、30日を上限として出国に必要な期間が指定され、その期間内に自主的に出国することになります。
ただし、第5号に該当する場合のうち、逃亡すると疑うに足りる相当の理由があるときは、期間の指定なく直ちに退去強制の対象となります。指定された期間内に出国しなかった場合も、退去強制と刑事罰の対象です。
つまり、具体的な転職活動が「正当な理由」と認められて取消しを避けられる可能性があっても、就職先が決まらないまま在留期限を迎えたときに、就労ビザの更新が当然に許可されるわけではありません。取消しを免れることと、更新が許可されることは別問題です。
3.3か月を超えても取り消されない「正当な理由」とは
出入国在留管理庁のQ&Aは、「正当な理由」の有無は個別具体的に判断するとしたうえで、退職後、再就職先を探すために会社訪問をするなど、具体的な就職活動を行っていると認められる場合を例示しています。
単に無職であることや、退職理由だけで結論が決まるわけではありません。
| 正当な理由が認められる方向の事情 | リスクが高くなる方向の事情 |
|---|---|
| 退職後、間を空けずにハローワークや転職エージェントへ登録している | 「仕事を探している」と言うだけで、応募や面接の記録がほとんどない |
| 希望する職種に継続して応募し、書類選考や面接を受けている | 退職後、長期間にわたり具体的な就職活動をしていない |
| 内定や採用予定があり、入社日や必要な在留手続を待っている | 就職活動を長く中断している、または許可されていないアルバイトだけを続けている |
| 倒産、雇止め、病気やけがなどで一時的に働けず、その事情を示す資料と復職・再就職の意思がある | 退職や再就職の届出を行わず、入管に届け出た内容と実態が合っていない |
| 応募や面接のたびに、メールや通知をその都度保存している | 説明のために、後から応募記録や面接記録を作っている |
会社都合なら必ず認められ、自己都合なら認められない、というルールではありません。退職の事情に加え、その後にどう行動したかも見られます。
4.転職活動は「していること」より「記録で示せること」
退職から再就職までの期間が長くなったとき、入管から見えるのは、本人の頭の中にある努力ではなく、提出された資料と記録です。
転職活動中は、次の資料を時系列で保存してください。
応募件数が多ければ自動的に有利になるわけではありません。在留資格に合わない職種へ形だけ応募しても、再就職に向けた具体的な活動とは評価されにくいでしょう。
「いつ、どの会社の、どの職種に、なぜ応募したのか」「現在の在留資格でその仕事ができるのか」「結果を受けて次に何をしたのか」が自然につながる記録を残すことが大切です。
ハローワークで雇用保険の手続をしている場合、その求職活動記録も説明資料になります。ただし、受給や登録だけで「正当な理由」が自動的に認められるわけではありません。
5.退職後14日以内の「所属機関等に関する届出」
対象となる在留資格の中長期在留者は、退職・転職があったとき、事由が生じた日から14日以内に出入国在留管理庁長官へ届け出る必要があります(入管法第19条の16)。この届出は、自分の在留資格がどちらの区分かによって様式が変わります。
| 区分 | 対象となる在留資格 | 退職したときの届出 |
|---|---|---|
| 契約機関に関する届出 (第19条の16第2号) |
高度専門職1号イ・ロ、高度専門職2号(イ・ロ)、研究、技術・人文知識・国際業務、介護、興行(契約に基づくもの)、技能、特定技能 | 契約機関との契約の終了/新たな契約の締結 |
| 活動機関に関する届出 (第19条の16第1号) |
教授、高度専門職1号ハ、高度専門職2号(ハ)、経営・管理、法律・会計業務、医療、教育、企業内転勤、技能実習、留学、研修 | 活動機関からの離脱/移籍 |
※「技術・人文知識・国際業務」の方は上段の「契約機関に関する届出」です。同じ会社員でも「企業内転勤」は下段になるなど、在留資格ごとに区分が違う点に注意してください。
退職後に必要な届出は「2回」
1回目前の会社を退職したとき
契約の終了または所属機関からの離脱を、事由発生日から14日以内に届け出ます。
2回目新しい会社へ入社・契約したとき
新たな契約の締結または新しい所属機関への移籍を、事由発生日から14日以内に届け出ます。
退職と再就職が近い場合でも、旧契約の終了と新契約の締結を正しく届け出ます。事実が発生する前に、未来日で届け出ることはできません。
届出の方法は3つ
電子届出の完了画面やメール、郵送した届出書の写しと発送記録は必ず保存してください。更新申請の際、届出義務を果たしたことを示す資料になります。
14日を過ぎてしまった場合
期限を過ぎたからといって、届出をしなくてよいわけではありません。出入国在留管理庁のQ&Aも、届出を忘れていたことが分かった場合は、速やかに届け出るよう案内しています。
| 内容 | 罰則 | 根拠 |
|---|---|---|
| 届出をしなかった | 20万円以下の罰金 | 入管法第71条の3 |
| 虚偽の届出をした | 1年以下の拘禁刑または20万円以下の罰金 | 入管法第71条の2 |
遅れた事実を隠すために退職日を変えたり、実態と違う届出をしたりすることは絶対に避けてください。遅れていても、正しい日付で速やかに届け出ることが先です。虚偽の届出は、罰則がより重いうえ、更新審査での信用も失います。
会社の届出と、外国人本人の届出は別です
会社がハローワークへ行う「外国人雇用状況の届出」と、外国人本人が入管へ行う「所属機関等に関する届出」は別の手続です。会社の届出で本人の届出が自動的に完了するわけではありません。
また、所属機関等に関する届出は、退職・入社の事実を報告する手続です。届出をしただけで、新しい仕事が現在の在留資格で認められたことにはなりません。
▶ 「14日以内の届出」については、こちらの記事で詳しく解説しています
6.無職期間中のアルバイト・副業は自由にできない
退職後に収入がなくなると、「次の会社が決まるまで、コンビニや飲食店でアルバイトをしよう」と考える方がいます。しかし、在留期限が残っていても、現在の在留資格で認められていない仕事を自由にできるわけではありません。
週28時間の包括的な資格外活動許可は、主に「留学」や「家族滞在」の方に関係するルールです。「技術・人文知識・国際業務」などの就労ビザを持つ方が、退職後にどの業種でも週28時間まで働けるという制度ではありません。
現在の在留資格の範囲外にある報酬活動をするには、原則として事前に資格外活動許可が必要です。申請しただけでは足りず、許可を受ける前に働き始めてはいけません。また、就職活動をせずに資格外のアルバイトが生活の中心になれば、本来の活動を行う意思や在留目的にも疑問を持たれます。
一方、短時間の仕事や業務委託であっても、実際の業務が現在の在留資格に該当し、適法な契約に基づくものであれば、直ちに「アルバイトだから禁止」と決まるわけではありません。肩書きや雇用形態ではなく、実際の仕事内容、契約先、報酬、専門性で判断されます。
判断がつかないまま、現金払いの仕事、単発アプリの仕事、配達、倉庫、清掃、飲食店のホールなどを始めるのは危険です。「短期間だけ」「生活のため」「会社に知られない」という事情で、資格外活動違反がなくなるわけではありません。
▶ 「週28時間」の正しい数え方は、こちらの記事で解説しています
7.転職先が決まったときの在留手続
転職先が決まったら、入社日の前に「今の在留資格で新しい仕事ができるか」を確認します。在留カードの期限が残っていることだけで判断してはいけません。
入社前に確認する主な項目
① 現在の在留資格の範囲内で転職する場合
たとえば「技術・人文知識・国際業務」の方が、新しい会社でも学歴・職歴に関連する専門業務に従事する場合、在留資格変更許可申請をせずに転職できることがあります。その場合でも、新しい契約を締結した日から14日以内の届出は必要です。
ただし、前の会社で許可されたからといって、新しい会社のすべての業務が自動的に認められるわけではありません。新しい業務と在留資格の適合性は、転職後の更新で改めて審査されます。
② 就労資格証明書を活用する場合
新しい仕事内容が現在の在留資格で認められるか不安なときは、「就労資格証明書交付申請」を検討できます。就労資格証明書は、その外国人が行うことのできる就労活動を具体的に示す文書です。
任意の証明書であり、取得がなければ一切働けない制度ではありませんが、許可の必要な在留資格変更に代わるものでもありません。
③ 在留資格変更許可が必要な場合
新しい仕事が現在の在留資格の範囲外である場合は、仕事内容に合う在留資格への変更許可を受けてから、その仕事を始める必要があります。
また、「高度専門職1号」や「特定技能」など、所属機関が在留資格と強く結びついているものは、同じような仕事への転職でも、所属先の変更に伴う在留資格変更許可申請が必要になることがあります。
「届出だけでよいのか」「変更許可が必要なのか」を混同しないでください。変更許可が必要な在留資格で、許可前に働き始めると資格外活動になります。
8.「3か月」より先に確認したい在留期限と更新
退職後に最初に確認する数字は、「3か月」だけではありません。在留カードに記載された在留期間満了日を必ず確認してください。
たとえば、退職から1か月後に在留期限が来る方は、「まだ3か月たっていないから大丈夫」とは言えません。在留期間内に適切な更新または変更を申請する必要があります。
在留期間が6か月以上ある方の更新申請は、通常、満了のおおむね3か月前から受け付けられます。更新が近い時期に退職した場合は、次の就職先、入社予定日、空白期間の理由、転職活動の記録をどう示すかを、早めに決めておきます。
就職先が決まっていない状態では、今後、就労ビザに応じた活動を継続する見込みを示しにくくなります。取消しを避けるための「正当な理由」と、更新の要件を満たすことは別問題です。
すでに退職から3か月以上たっている場合の7ステップ
3か月を超えたからといって、事実と違う入社日を作ったり、名目だけの雇用契約を結んだりしてはいけません。まず、次の順で状況を整理してください。
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9.健康保険・年金・税金・失業給付の手続
退職後は、入管への届出に加えて、次の手続も確認します。更新・変更のガイドラインでは、納税義務の履行や社会保険への加入も考慮事項とされているためです。
| 項目 | 退職後にすること |
|---|---|
| 健康保険 | 任意継続、国民健康保険、家族の被扶養者という選択肢があります。協会けんぽの任意継続は、原則として退職日の翌日から20日以内の手続が必要です。 |
| 年金 | 日本国内に住む20歳以上60歳未満の方が厚生年金から外れ、次の会社の厚生年金や配偶者の扶養に入らない場合は、国民年金への切替が必要です。支払いが難しければ、未納のまま放置せず免除・猶予を相談してください。 |
| 住民税 | 前年の所得をもとに課税されるため、退職後に収入がなくても納付が続くことがあります。天引きが終わった後の納付方法と残額を、会社や自治体へ確認してください。 |
| 雇用保険 (基本手当) |
受給要件を満たす場合は、離職票を受け取り、ハローワークで求職申込みと受給手続を行います。求職活動記録は、転職活動を示す資料にもなります。 |
支払いが難しい場合は、放置せず各窓口へ相談し、相談・分納などの手続の記録を残してください。更新審査では、未納の事実そのものより「悪質かどうか」が見られます。
10.在留資格ごとに異なる退職・転職の注意点
「就労ビザ」と呼ばれる在留資格は一つではありません。現在の在留資格によって、退職後の届出や転職方法が異なります。
| 在留資格 | 退職・転職の注意点 |
|---|---|
| 技術・人文知識・国際業務、研究、介護、技能 | 新しい仕事が現在の在留資格の範囲に入れば、変更せずに転職できる場合があります。旧契約の終了と新契約の締結を届け出、仕事内容に不安があれば就労資格証明書を検討します。 |
| 高度専門職1号 | 所属機関が指定されるため、転職で所属機関が変わる場合は、原則として在留資格変更許可申請が必要です。 |
| 高度専門職2号 | 本来の活動を行っていないことによる取消事由の期間は、3か月ではなく6か月です。ただし、活動範囲、届出義務、他の取消事由は別に確認が必要です。 |
| 特定技能 | 受入れ機関や分野が指定されるため、原則として在留資格変更許可を受ける前に転職先で働けません。受入れ機関側にも必要な届出があります。 |
| 企業内転勤 | 外国にある事業所から日本の関連会社等へ期間を定めて転勤する活動が前提です。元の企業グループを退職して別会社へ移る場合は、そのままでは働けないことが多く、仕事内容に応じた在留資格への変更を検討します。 |
| 経営・管理 | 事業の経営・管理活動の実態が問題となるため、役員辞任や廃業の場合は、一般的な会社員の転職活動と同じ説明では足りません。 |
| 技能実習 | 本人の希望だけで自由に転職できる制度ではありません。実習先で問題があれば、監理団体や外国人技能実習機構などへ相談してください。 |
| 永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者 | 身分・地位に基づく在留資格です。退職して3か月無職になったことを理由に、第22条の4第1項第6号の問題が生じる在留資格ではありません。ただし、在留期限や配偶者との離婚・死別などは別に確認します。離婚した場合は、離婚から6か月というもう一つの区切りがあります(同項第7号)。 |
【2026年7月時点の最新情報】技能実習制度は、2024年(令和6年)6月に成立した改正法により廃止され、新たな「育成就労制度」へ移行します。施行は2027年(令和9年)4月1日の予定で、転籍(転職)の要件も見直されます。現時点では技能実習制度が続いていますが、今後の運用変更に注意してください。
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11.元捜査員の視点|入管が見るのは退職後の「空白」ではなく「中身」
入管法違反事件の捜査では、本人の説明だけで事実を決めることはありません。雇用契約書、給与記録、会社の説明、在留カード、届出履歴、出入国記録などを並べ、いつ何が起きたのかを時系列で確認します。
退職後の無職期間も同じです。前の契約の終了日と理由、届出日、応募・面接の記録、生活費、新しい契約日と入社日を一本の時間軸にすると、本当に再就職を目指していたのか、在留資格に合わない活動へ移っていたのかが見えてきます。
反対に、届出の退職日、履歴書の職歴、離職票、給与の最終支給月、新しい雇用契約書の日付が食い違うと、空白期間だけでなく、申請全体の信用性に疑問が出ます。審査官に疑念を持たれる、ということです。
入管から説明を求められる前に、実際に起きたことを確認し、届出漏れがあれば是正し、今後の就労見込みを資料で示せる状態にしておくことが大切です。
12.退職から再就職までの実務チェックリスト
退職が決まったとき
退職後14日以内
転職活動中
転職先が決まったとき
13.外国人社員が退職した会社・採用する会社の注意点
外国人本人だけでなく、退職する会社と、転職者を採用する会社にも必要な対応があります。
退職する会社
採用する会社
外国人本人が「今のビザで働けます」と言ったことだけで、会社の確認責任がなくなるわけではありません。採用後に実際の業務が在留資格の範囲を外れれば、本人だけでなく、会社側にも不法就労助長罪の問題が生じる可能性があります。
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14.就労ビザと退職のよくある質問(6問)
Q1.最終出勤後に有給休暇を消化しています。「3か月」と14日の届出は、いつから数えますか?
14日以内の届出は、最終出勤日ではなく、会社との契約が正式に終了した退職日が基準です。
一方、取消制度の「3か月」は、契約日だけでなく、在留資格に応じた活動を実際に行っていない期間と、その理由から判断されます。有給消化期間を必ず就労期間に含められる、あるいは最終出勤日の翌日から必ず3か月を数える、と一律にはいえません。最終出勤日、有給休暇の期間、退職日が分かる資料を残し、転職活動は早めに始めてください。
Q2.技人国ビザのまま、フリーランスや業務委託で仕事を受けられますか?
雇用契約でなくても、日本の会社等との契約に基づき「技術・人文知識・国際業務」に該当する専門業務を行うのであれば、在留資格の範囲に入る場合があります。ただし、契約名ではなく実際の業務内容、専門性、報酬、継続性、契約先の実態で判断されます。
新しい会社等との契約については届出も必要です。名目だけの短期契約を結べば3か月の問題が解消するわけではなく、自ら事業を経営する活動が中心なら「経営・管理」への変更が必要になることもあります。
Q3.採用候補者が前職を辞めてから4か月たっています。企業は採用しても大丈夫ですか?
無職期間が3か月を超えたことだけで、在留資格が自動的に失効したり、採用できなくなったりするわけではありません。
企業は、在留カード原本の表裏、旅券、在留期限、申請中の記載・受付資料、在留カード等番号失効情報照会を確認し、予定業務が在留資格の範囲に入るかを確認してください。退職後の届出や転職活動の状況も本人に確認します。高度専門職1号や特定技能など、入社前に変更許可が必要な在留資格では、許可前に働かせてはいけません。
Q4.前の会社を前提に在留期間更新を申請中ですが、退職・転職することになりました。そのままでよいですか?
そのまま結果を待つのは危険です。出入国在留管理庁は、申請時から内容が変わった場合、たとえば申請後に退職した場合には、すぐ入管へ連絡するよう案内しています。
新しい雇用契約書と職務内容を用意し、審査中の申請へ追加資料を出すのか、申請方針を変更するのかを確認してください。在留カード表面の期限を過ぎていても、特例期間中は従前の在留資格と活動範囲が続きますが、それだけで新しい仕事が認められるわけではありません。
Q5.前の会社が退職証明書を出してくれません。どうすればよいですか?
労働者が退職証明書を請求した場合、会社は、使用期間、業務の種類、地位、賃金、退職の事由のうち本人が請求した事項について、遅滞なく交付しなければならないと労働基準法第22条が定めています。必要な項目を明記して、メールや書面で請求してください。交付されない場合は労働基準監督署へ相談できます。
入管手続を止めたままにせず、離職票、雇用保険の資格喪失資料、最終給与明細、会社とのメールなど代わりになる資料を集め、取得できない経緯を説明します。事実と違う証明書を自分で作ってはいけません。
Q6.転職先が決まらなければ「家族滞在」に変更できますか?
配偶者が「技術・人文知識・国際業務」など家族滞在の扶養者になれる在留資格を持ち、婚姻関係、扶養の実態、収入などの要件を満たせば、家族滞在への変更を申請できる場合があります。
ただし、家族から生活費を出してもらっているだけで自動的に変更できるわけではなく、特定技能1号など、家族滞在の扶養者にならない在留資格もあります。変更を希望する場合は速やかに申請し、許可前は現在の在留資格の活動制限に従ってください。家族滞在で働くには、別途、資格外活動許可が必要です。
15.まとめ|見るべき数字は「3か月」だけではありません
最も危険なのは、「3か月以内だから何もしなくても大丈夫」と考えることと、「3か月を超えたからもう手遅れだ」と考えて事実を隠すことです。
退職後に見られるのは、空白期間の長さだけではありません。退職の経緯、届出、具体的な転職活動、生活状況、新しい仕事と在留資格の適合性が、時系列として自然につながるかが重要です。事実関係を早く整理するほど、選べる対応は多く残ります。
退職後の就労ビザで迷ったら
次のような方は、申請や入社の前にご相談ください。
退職日から現在までを、一本の時間軸に整理します
当事務所では、元警視庁入管法捜査員としての経験をもとに、退職日から現在までの時系列、届出状況、転職活動の資料、新しい仕事内容を確認し、必要な手続と説明資料を整理します。
書類を提出する前、入社する前に、現在の状況をご相談ください。
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※本記事は2026年7月時点の法令・公表情報に基づく一般的な解説です。「正当な理由」の有無、在留資格取消し、更新・変更の可否は個別の事情により判断されます。法令、運用、申請様式、提出書類は変更されることがありますので、実際の対応にあたっては最新の公式情報をご確認いただくか、専門家へご相談ください。
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TAMAフロンティア行政書士事務所 代表
毛呂 敦(もろ あつし)
|
入管業務を専門とする行政書士。警視庁で約20年間勤務し、うち約10年を国際捜査官として入管法実務に従事。現場で得た知見を活かし、東京・多摩地区(ご相談場所は立川駅)を拠点に、外国人のビザ申請と企業の外国人雇用をサポートしています。 |
