TAMAフロンティア行政書士事務所|立川・多摩のビザ申請・外国人雇用サポート

ビザ申請・外国人雇用サポート
【対応地域】東京都近郊にお住まいの方(オンライン相談も可能)

070-5265-3210

電話受付時間 : 平日9:00〜18:00 休業日:土日祝(事前予約された場合は対応いたします)

メール対応は24時間受け付けております。

お問い合わせはこちら

飲食店の外国人店長・店長候補は技人国で大丈夫か|現場作業と次の更新

元警視庁入管法捜査員の行政書士が解説

入管が見るのは肩書ではなく、候補期間中と店長就任後の一日の業務の割合

──外食業の担当者・人材紹介会社向け

「人材紹介会社から、店長候補としての採用なら技人国で問題ないと言われました」

「日本人の店長も、マネジメントだけでなく毎日ホールに立ちます。同じことではないのですか」

「将来は店長、さらにエリアマネージャーにする予定です」

7月頃、知人を介して飲食店スタッフから、こうしたお話を伺いました。顧問先ではありませんので、私にできたのは助言だけです。ただ、これと似たケースはちょくちょく耳にするので、似たような構図があちこちで起きているのだと感じます。

まず、前提として、「1店舗の店長・店長候補だから、技術・人文知識・国際業務(以下「技人国」)は一律に不許可」ということではありません。入管庁の飲食店向け資料でも、店舗管理業務は「×」ではなく「△=個別判断」です。

しかし、店長候補は店長より安全な肩書ではありませんし、また、店長になれば問題がないわけでもありません。外食業では、一店舗に正社員が店長ともう一人だけで、残りはアルバイトという構成がよくあるパターンです。店長がシフト管理や発注をしながら、毎日ホールに立ち、欠員が出れば厨房にも入る。日本人店長なら自然な働き方ですが、外国人の雇用においては、その「当たり前」が在留資格該当性の問題になってしまいます。

入管が見るのは肩書ではなく、候補期間中と店長就任後の一日の業務の割合です。候補期間がホール・厨房中心で、店長就任後も接客が日常業務なら、「将来は店長」という説明だけでは足りません。

私は行政書士になる前、警視庁で約20年間勤務し、うち約10年間は入管法違反事件の捜査に従事しました。捜査の側から見て一番残念だったのは、悪意のある会社ではなく、「うちのやり方は大丈夫だ」と間違った認識を持った会社が問題になるケースです。今回の記事は、その一歩手前で立ち止まっていただくために書いていますのでぜひ参考にしてください。

この記事はこれから採用する場面の話です。すでに働いている社員の次の更新が心配な方は、上の2本もあわせてお読みください。更新期限が迫ってからでは、打てる手が限られます。

※本記事は2026年8月時点の法令・公表情報に基づく一般的な解説です。入管庁の公表資料から確認できる内容と、筆者の実務経験に基づく見立ては区別して記載しています。個別の事案は事情によって結論が変わります。

目次

1.相談事例|「店長候補での採用なら問題ない」と言われた飲食店

その飲食店では、以前から技人国の外国人を採用し、ホールスタッフとして配置していたようです。今回も1名採用する方向で、ポジションは「店長候補」。求人にもそう書かれていました。紹介会社からも「店長候補なら技人国で問題ない」と説明を受けていたそうです。

日本人の店長も現場に立つのだから、外国人でも問題ない。むしろ平等であるという間違った認識です。これこそが、外国人雇用の落とし穴なのです。

不法滞在者を雇用するわけでもない。真面目で優秀な外国人を雇いたい。それだけなのですが、論点はそこではなく、業務が在留資格の該当性などの要件を満たしているのか、です。外国人雇用では、日本人ではまったく気にしなくていい部分のミスで、その外国人が次回の更新ができなかったり、会社が罪に問われたりするのです。

今回、私が尋ねたのは二点です。

▶候補である間、週に何時間ホールや厨房へ入りますか
▶いつ店長になり、そのとき何を担当しますか。

前者には「もちろん毎日現場に入ってもらいます」、後者には「本人の頑張り次第です」という答えが返ってきました。

この二つの答えからして、技人国としてはかなり危険な設計と言わざるを得ません。なぜなら、恒常的に現場のシフトに組み込まれていますし、「本人の頑張り次第」は、在留資格上のキャリアプランにはならないからです。

2.技人国でできる業務・できない業務|調理×・接客×・店舗管理△・店舗経営○(入管庁資料)

入管庁は「飲食店において外国人が就労する場合の在留資格について」という資料を公表しています。技人国の欄は次のとおりです。

在留資格 調理業務厨房内での食材仕込み、調理、盛付け 等 接客業務席への案内、注文伺い、配膳、片付け、会計対応 等 店舗管理業務衛生管理、従業員の管理・指導、会計事務管理、社内外との連絡調整、在庫管理 等 店舗経営店舗の経営分析、経営管理、契約に関する事務 等
技術・人文知識・国際業務 × × (注1)
特定技能1号(外食業分野) ×
特定技能2号(外食業分野)
特定活動(告示46号:本邦大学等卒業者) (注2)

(注1)在留資格「技術・人文知識・国際業務」に該当する活動として店舗管理業務が認められるかどうかは、勤務する店舗の具体的態様や外国人の具体的活動内容・キャリアパス全体等を総合的に考慮して、個別に判断します。なお、自らが調理業務・接客業務に従事することは認められません。

(注2)大学等で修得した知識を活用できる業務と日本語を用いた円滑な意思疎通が必要な業務に従事する必要があり、厨房での皿洗いや清掃のみに従事することは認められません。

出典:出入国在留管理庁「飲食店において外国人が就労する場合の在留資格について」(https://www.moj.go.jp/isa/content/001450260.pdf)をもとに作成

店舗管理△については、店舗の具体的態様、本人の活動内容、キャリアパス全体等を総合して個別判断すると明記されています。また、本人が自ら調理・接客に従事することは認められないとされています。

ただし、通常業務としての調理・接客と、入社当初の真正な実務研修は分けて考える必要があります。日本人社員にも同様に課され、将来の専門業務に必要で、期間や移行先が具体的な研修であれば、活動全体を見て許容される場合があります。

入管庁の技人国と特定技能の対比表では、外食業の技人国の主な活動として「複数店舗の店舗管理、店舗経営、企画業務」が挙げられています。ただし、この表は対比のための概略であり、一律の許可基準ではありません。したがって「1店舗だから不許可」も「複数店舗だから許可」も、どちらも正確ではありません。

また、特定活動告示46号も四業務が○ですが、大学等で修得した知識の活用、高い日本語能力、業務全体の構成など固有の要件があり、「現場に入れるから」という理由だけで選べるものではありません。

現場で最も多い誤解|入管はダメとは言っていないから大丈夫だ

「入管庁の資料に△と書いてあるのだから、ダメではないはず」——採用の現場では、この理解のまま話が進んでいるケースを多く見かけます。一律に不許可ではない以上、この理解は半分は正しいです。

ただし、これは「認められることがある」という意味であって、「認められやすい」という意味ではありません。そして、日本の飲食店の構造を考えると、店長が一日中ホールに立たずに済む店舗が、どれだけあるでしょうか。店舗管理業務だけで一日の職務が埋まる飲食店は、実際にはあまりない印象を私は持っています。

そのため、店長候補や1店舗の店舗管理という組み立てで技人国の許可を得られる可能性は、実務上かなり低いというのが私の見立てです。実際に私の身近なところでも、これに似たケースの申請で不許可になったという話も聞いています。「△だから大丈夫」ではなく、「△だからこそ、自社の店舗ではこう成立するのだと説明がつかなければ不許可になる」と考えるべきです。

関連サービス:この「△」を資料で説明する部分が、技人国の申請の要です。当事務所の就労ビザ申請サポートでは、職務内容の組み立てから立証資料の準備までお手伝いしています。

3.店長候補の期間と店長就任後は、別々に考えてください

候補期間——「将来は店長」だけでは現場作業を正当化できない

在留資格該当性は、候補期間を含む活動全体で判断されます。将来店長になる予定だけで、候補期間中の恒常的なホール・厨房業務が当然に技人国の活動になるわけではありません。

候補期間中の現場業務が認められる可能性があるのは、入社当初の真正な実務研修と評価できる場合です。日本人社員も同じ研修を受けること、将来の技人国該当業務に必要であること、研修後のポストが実在すること、移行時期が具体的であることが重要です。

「在留期間の大半を占めない」という判断は、今回付与された1年間だけでなく、雇用契約等から想定される技人国での在留期間全体を見て行われます。無期雇用などでは、採用当初の1年間すべてを実務研修とすることも想定されていますが、1年を超えるような長期の研修期間は、研修計画を提出して合理性の審査を受けます。

店長就任後——雇われ店長が毎日接客する場合

ここが外食業の実態に即して考えるべきところです。

一般的な飲食店では、正社員が店長ともう一人二人しかおらず、あとはアルバイトで成り立っているという店舗も多いでしょう。その体制なら、店長が常にホールへ出る、注文を取る、配膳する、レジに入る、場合によっては調理を手伝うのは自然なことです。

しかし、外国人が就労する場合の在留資格の該当性という観点では、「日本人店長もやっているか」は判断基準ではありません。入管は、技人国の本人が通常業務として自ら調理・接客を行うことを認めていません。店長業務の半分が店舗管理でも、残り半分が接客なら、役職名だけの現場人材と判断される可能性が高いです。

もっとも、店長が店内を巡回して従業員を指導すること、接客状況を確認すること、通常のスタッフでは対応できないクレームを処理することまで、直ちにホール業務と同じになるわけではありません。問題になるのは、当然のように注文、配膳、片付け、レジの持ち場に入り、通常のホール要員としてシフトに組み込まれている場合です。「店舗に出るか」ではなく、「そこで管理をするのか、自ら接客をするのか」を分けて考える必要があります。

シフト管理、発注、在庫管理、アルバイト指導も、店舗運営には必要です。しかし、それだけで直ちに学術的・体系的な専門知識を必要とする活動になるわけではありません。ガイドラインも、「未経験可、すぐに慣れます」とされる業務や、特段の技術・知識を要しない業務は対象にならないと説明しています。

したがって、外国人を店長として採用する場合に見るべきなのは、次の点です。

本人がホール・厨房の通常シフトに入るか
店舗管理業務だけで、現実に一日の職務が成立するか(言い換えれば、現場は他のスタッフで完結するのか)
売上、原価、人件費等の分析と改善をどこまで任せるか
採用、教育、販促、商品企画等について裁量があるか
専攻や実務経験を使う専門業務を資料で説明できるか

「店長だから管理職」という説明では足りません。少人数店舗で店長が常時接客する設計なら、技人国として許可は難しいというのが私の見立てです。実際に、これと似たケースの技人国の不許可事例が増えているという話を最近よく聞きます。

4.エリアマネージャー・品質管理なら技人国で大丈夫か

公式資料にすべての職名が載っているわけではありません。実際の審査では、職名を分解し、本人が何をするかで判断します。私の経験上、「〇〇管理」「指導」「店長」「エリアマネージャー」「品質管理」という名称だけで安心している案件ほど、実態確認が必要です。

エリアマネージャー|「何店舗を見ているか」より「各店舗で何をしているか」

複数店舗の管理は、入管庁の対比表でも技人国の主な活動例に挙げられており、1店舗の店長より説明しやすい面があります。ただし、肩書をエリアマネージャーに変えれば許可されるという意味ではありません。

複数店舗の売上・原価・人員配置の分析、予算管理、採用・教育方針の策定、店舗間の業務改善、販促企画、本部への報告などを担うなら、専門性を説明しやすくなります。一方、各店舗を巡回し、欠員店舗でホールや厨房の穴埋めをすることが中心なら、それは複数店舗を横断した現場作業です。

品質管理|検査をする人か、検査・品質保証の仕組みを設計する人か

外食業からは少し外れますが、品質管理も、名称だけでは判断できません。製造業や食品関係で「品質管理」と呼ばれていても、実際の仕事がライン上の検品、選別、計測、マニュアルに沿った記録、現場作業員への声掛けを中心とするなら、技人国の専門業務としては説明が難しくなります。

他方、理工系・食品科学等の知識を用いて、品質基準や検査方法を設計する、不良原因を分析する、工程改善を企画する、品質保証体制を構築する、監査・法令対応を行うといった仕事であれば、技人国に該当する余地があります。

同じ「品質管理」でも、検査をする人なのか、検査・品質保証の仕組みを設計し改善する人なのかで結論は変わります。近時の実務では、管理という名称に対して、実際の一日の業務、作業場所、現場作業の割合、成果物まで詳しく確認される傾向を感じます。

5.技人国・店長の許可例と不許可例|「本人の頑張り次第」が危険な理由

入管庁のガイドラインには、店長候補を考えるうえで参考になる事例があります。

【許可例】

許可例は、法律・マーケティング・会計等を履修した方が、コンビニエンスストアの店長補佐として採用され、OJT等を経ておおむね1年後に店長へ就任し、マーケティングや店舗運営・管理に従事する具体的なキャリアプランが示されていた事例です。

これはコンビニの事例であり、飲食店店長の許可例ではありません。飲食店には調理・接客が明示的に×とされる固有の事情があります。ただ、1店舗の店長候補というだけで一律に排除されるわけではないことを示す参考にはなります。

【不許可例】

一方の不許可例は、飲食チェーン企業の管理者候補として採用されたものの、数年間・期間未確定で店舗の接客・調理を経験し、選抜された者だけが最終的に技人国該当業務へ進む計画だった事例です。

今回の相談で出てきた「本人の頑張り次第」は、この「選抜された者のみ」に重なります。

候補・研修期間が具体的か。
候補者が専門業務へ確実に移るのか。
研修後のポストが実在するか。
その業務自体が技人国に該当するか。
専攻との関連があるか。
日本人社員にも同じ研修があるか。

これらを総合して判断されます。

6.予定どおり店長にならなかったら|技人国の更新はどうなるのか

予定時期に店長にならなかったというだけで、直ちに犯罪になったり、在留資格が取り消されたりするわけではありません。

業績悪化、店舗閉鎖、組織再編など、採用時に予測できなかった事情で昇格が延期されることはあります。その場合は、延期の事情と修正後の計画を、組織図、辞令、職務分掌等の客観的資料で説明できるようにすべきです。

問題は、申請時に「おおむね1年後に店長へ就任し、技人国該当業務へ移る」と説明していたのに、合理的理由なく現場業務を続けている場合です。更新時には、当初の計画は実在したのか、店長ポストは用意されていたのか、現在の業務は何か、今後いつどの専門業務へ移すのかが確認されます。

最初から「優秀な人だけを昇格させる」「昇格時期は未定」「昇格できない人は現場に残す」という制度だった場合は、上記の不許可例に近づきます。店長以外の技人国該当業務へ移す計画があるなら、部署、職務、時期まで具体化してください。「将来は本部勤務」「いずれ昇格」では足りません。

7.私が実務上確認している「不許可の3類型」

私は技人国の案件を、次の3つに分けて確認しています。入管庁の公式分類ではありませんが、原因を見誤らないための整理です。

虚偽申請型……はじめから現場作業をさせるつもりで、専門業務に従事するという内容で申請するもの。
誤認型……会社も紹介会社も本人も、店長、管理、指導、品質管理等を技人国業務だと信じているもの。
混在型……該当業務と非該当業務が混在しているのに、申請書には該当業務だけを書くもの。

虚偽申請型はもはや犯罪であり論外ですが、多少のズレがあった場合に直ちに犯罪になるわけではありません。しかし、そのズレを認識した後も放置し、更新時にも実態と異なる申請を続ければ、在留資格等不正取得、取消し、不法就労助長の問題へ発展し得ます。

また、「現場作業は〇割までなら大丈夫」という数値基準を入管庁は公表していません。例えば、毎日スタッフが休憩を取る時間帯の2時間ホールに立つ勤務は、立派な恒常的な現場業務と考えられますし、他方、繁忙時にやむを得ず一時的なヘルプとして対応するといったものは、付随的行為として問題になりにくいという実感です。

8.転職時には何事もなく、次回更新で表面化しやすい仕組み

技人国に該当する別の仕事へ転職する場合、原則として事前の転職許可は不要です。本人は、契約終了と新契約について14日以内に所属機関の届出を行います。通常の事業主は、外国人雇用状況をハローワークへ届け出ます。

ただし、この届出は、新しい職務内容が技人国に該当することを審査・承認する手続ではありません。もし、新業務が資格外なら、問題は入社初日から存在することになりますが、問題が表面化しやすいのが転職後の更新です。ただし、更新前でも、「就労資格証明書」の申請や在留調査等で判明することはあります。

更新不許可になってしまうと、実務上、出国準備の特定活動へ変更され、30日または31日が指定されることが多いです。指定内容では通常就労できません。扶養者の在留基盤が失われれば、家族滞在の家族にも変更・帰国の問題が生じます。

関連サービス:転職後の職務内容の確認、就労資格証明書の交付申請、在留期間更新は就労ビザ申請サポート(技術・人文知識・国際業務)で承っています。

更新を待たない、という選択
在留期限に余裕があるうちなら、「就労資格証明書」で先に確かめられます

入管庁は、令和8年(2026年)4月15日付けで「『技術・人文知識・国際業務』の在留資格の明確化等について」を一部改正しました。新しい禁止事項ができたわけではありません。変わったのは、審査で確認されるポイントが具体化されたことです。法令を検索しても変化は見えないため、以前は通っていた職務内容のまま、次の更新を迎える会社が出てきます。

そこで使えるのが就労資格証明書(入管法19条の2)です。いまの在留資格で、この会社のこの仕事ができるのかを、更新を待たずに入管に確認してもらう手続です。任意の制度で、在留期間が延びるわけでも、更新を保証するものでもありません。それでも意味があるのは、結論の出る時期を、在留期限に追われない時点へ前倒しできるからです。

交付されれば、次の更新で在留資格該当性を説明する有力な資料になります。交付されなければ、配置転換、在留資格の変更、採用ルートの組み直しを、まだ時間が残っているうちに検討できます。更新の不許可通知を受け取ってからでは、どちらも選べません。

▶ 就労資格証明書は取るべきか|技人国の転職で仕事内容が変わる場合
制度の基本、取るべき/取らなくていいの仕分け、手数料と標準処理期間まで。
▶ 技人国の更新が不許可になる理由|同じ仕事でも現場作業が多い場合
転職していない社員の話です。打てる手と、それぞれに必要な期間をまとめています。

9.不法就労助長は「不法滞在者を雇った会社」だけの話ではない

有効な在留カードを持つ外国人でも、認められた範囲外の仕事をさせれば不法就労になり得ます。不法就労助長罪は、不法就労活動をさせた者や、その行為等を業としてあっせんした者を対象とします。「知らなかった」だけでは免責されず、過失がない場合に限り例外となります。「紹介会社が大丈夫と言った」「前の会社でも同じ仕事をしていた」だけで、受入企業の確認責任がなくなるわけではありません。

現在の法定刑は3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(併科あり)ですが、2027年4月1日から5年以下または500万円以下へ引き上げられます。

もちろん、業務のズレが見つかれば、すべて刑事事件になるわけではありませんが、警察で入管法違反を捜査してきた立場から申し上げると、事件の端緒が発覚した後に「悪気はなかった」と弁解したのでは遅いのも事実です。捜査過程や更新時の調査では、申請書の職務説明だけを見るわけではありません。求人票、雇用契約書、シフト表、勤怠、業務日報、社内の指示などを重ねれば、本人が実際に何をしていたかは見えてきます。一事例だけだとバレなかったものでも、同じ会社で同じような外国人雇用のケースが重なれば実態は明るみになります。

その結果もたらされる事実として、本人の更新不許可だけで終わらないことがあります。働けなくなった本人と家族、突然欠員が出る店舗、採用や紹介に関与した会社、そして刑事責任を問われ得る経営者や担当者へと影響が広がります。問題が更新で表面化してから相談を受けても、すでに積み上がった勤務実態を過去に戻して直すことはできません。

いま行うべきことは、許可時の職務内容と、現在のシフト・職務分掌を照合することです。ズレがあれば隠さず、労働法上の手続にも配慮しながら、業務変更、適切な在留資格への変更その他の是正方法を検討してください。

10.特定技能1号の新規受入れが止まっている今、どう人材を確保するか

在留資格 現在の受入れ状況・主な要件 ホール・厨房の業務
技人国 調理・接客は×、店舗管理は△(現実的に難しい) ×
特定技能1号(外食業) 2026年4月13日以降、新規の受入れは停止中。既存の方の更新と、外食業内での転職は通常どおり
特定技能2号(外食業) 要件を満たす経験者であれば検討対象
永住者/日本人の配偶者等/永住者の配偶者等/定住者 就労する職種に制限なし ○(フルタイム可)
留学・家族滞在(資格外活動許可) 勤務先を合算して原則週28時間以内 ○(短時間シフト)
特定活動46号 日本の大学等の卒業、高い日本語能力などの要件あり 店舗管理や通訳を兼ねた接客

※2026年8月時点。各ルートの詳しい注意点は、以下のとおりです。

外食業の特定技能1号は2026年4月13日以降、新規の受入れが停止されています

外食業では2026年4月13日以降、特定技能1号の新規の在留資格認定証明書交付が停止され、他の在留資格からの変更も原則不許可です。ただし、制度全体が止まったわけではなく、既存の特定技能1号の更新や外食業内での転職は通常どおり審査されています。したがって、実質は国内のパイの奪い合いにはなりますが、外食業の特定技能1号として働く人材を採用する方法があります。要件を満たす経験者であれば、特定技能2号も検討対象です。

永住者・日本人の配偶者等・定住者には、就労する職種の制限がありません

次に、永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者は、入管法上、就労する職種に制限がありません。在留カード等をしっかり確認したうえで、ホール、厨房、店長候補としてフルタイム採用できます。

留学生・家族滞在の資格外活動は、原則として週28時間以内です

留学生や家族滞在の方も、資格外活動許可があればアルバイト採用できます。ただし、原則として勤務先を合算して週28時間以内です。留学生は学校の長期休業中に1日8時間まで働ける場合がありますが、家族滞在にはこの扱いはありません。正社員不足をそのまま埋める方法ではなく、短時間シフトの担い手として考えるべきです。

特定活動46号は、単純作業だけをさせる制度ではありません

実態としてはあまりないと思いますが、日本の大学等を卒業し、高い日本語能力などの要件を満たす人材なら、特定活動46号により、店舗管理や通訳を兼ねた接客に従事できる可能性があります。ただし、単純作業だけをさせる制度ではありません。

「特定技能が止まったから、店長候補という名前で技人国を取る」という発想は外国人本人にとっても会社にとっても非常に危険です。就労制限のない在留資格、資格外活動、特定活動46号、既存の特定技能人材などを、勤務時間と担当業務に応じて組み合わせることが現実的です。

11.技人国での店長・店長候補の採用についてのよくある質問

Q1.在留カードの期限があと3年あります。次の更新までは、ホールで働かせても大丈夫ですか。

A.大丈夫ではありません。在留期間が3年残っていることは、現在の会社の具体的な仕事が3年間承認されているという意味ではありません。転職後の職務が資格外なら、問題は入社した時点から生じます。更新直前まで待たずに職務を確認してください。

▶ 関連記事:技人国の更新が不許可になる理由|同じ仕事でも現場作業が多い場合
期限が3年先でも、点検を始めるのは「1年前」です。在留期限から逆算したチェックリストを載せています。

Q2.前の会社でも同じ店長業務をして更新できたそうです。今回も大丈夫ですか。

A.参考にはなりますが、保証にはなりません。前職の具体的な業務、申請書に記載した内容、店舗体制は分かりませんし、過去の許可が現在の会社の仕事まで承認するものでもありません。何より、入管庁の審査は以前より厳しく見られる傾向にあります。更新の時に不許可になり対応できなくなるより、転職後の職務について就労資格証明書を申請することもおすすめします。

▶ 関連記事:就労資格証明書は取るべきか|技人国の転職で仕事内容が変わる場合
就労資格証明書とは何か、どんなときに取るべきかを、手数料と処理期間まで含めて解説しています。

Q3.すでに採用した社員の仕事が、申請時の説明と違うことに気付きました。職務記述書を書き直せばよいですか。

A.過去の食い違いをなかったことにするように、申請書や職務記述書だけを作り直すのではなく、まず過去と現在の業務を正確に整理し、資格外の疑いがある業務をこれ以上拡大させないことです。そのうえで、雇用契約にも配慮しながら、業務変更、在留資格変更、就労資格証明書など、事案に合った是正策を検討してください。

12.まとめ|手遅れになる前に、採用と配属を点検する

店長候補という肩書は、在留資格該当性を保証しません。店長になった後も同じです。肩書を作るのではなく、技人国に該当する一日を設計する必要があります。

しかし、外国人雇用の問題は、申請のときだけ専門家に書類を作ってもらえば防げるものではありません。採用時には適法だった職務が、人手不足や異動によって少しずつ変わり、気付いたときには日常的な現場業務になっていることがあります。

当事務所との顧問契約では、採用前の在留資格・職務内容の確認、配置転換や昇格時の相談、シフトと職務分掌の点検、更新を見据えた資料整備を継続的に支援します。現場の事情を早い段階で共有していただければ、問題が積み上がる前に、業務設計の見直しや別の採用ルートをご提案できます。

技人国の社員に現場業務が含まれている、店長・店長候補・エリアマネージャーとして採用したい、特定技能1号の停止下で採用ルートを組み直したい。こうした会社は、在留カード、雇用契約書、直近1か月のシフト表、職務分掌、組織図をご用意のうえ、ご相談ください。不許可通知を受け取ってからではなく、違和感を覚えた今が見直すタイミングです。

就労資格証明書交付申請に関するご相談
「次の更新で大丈夫か」は、期限に余裕のあるうちに確かめられます

在留カード、雇用契約書、直近1か月のシフト表、職務分掌、組織図をご用意ください。現在の業務を棚卸ししたうえで、いま就労資格証明書を申請すべき事案か、先に業務設計を見直すべき事案かを切り分けてご説明します。期限まで日があるほど、選べる手は多く残ります。

就労資格証明書について相談する ▶

就労ビザ(技人国)申請サポートのページ内、就労資格証明書の説明へ移動します

就労ビザ申請サポート | 料金案内を見る | サービス一覧を見る | 当事務所の強み

はじめてご相談される方ははじめての方へもご覧ください。

【出典】

※「私の見立て」「私の経験上」等と記載した部分は、筆者の捜査経験および行政書士実務に基づく見解であり、入管庁が公表した一律の基準ではありません。

次に読む記事

技人国の更新が不許可になる理由|同じ仕事でも現場作業が多い場合

転職も配置転換もしていない社員の話です。2026年4月15日の明確化で何が変わったのか、打てる手はいつまでに動けば間に合うのかを整理しています。

就労資格証明書は取るべきか|技人国の転職で仕事内容が変わる場合

就労資格証明書(入管法19条の2)の制度解説です。取るべきケースと取らなくていいケースの仕分け、手数料と標準処理期間、採用条件にできるかまで。

不法就労助長罪とは|企業が「知らなかった」では済まない外国人雇用のリスク

資格外の業務をさせたとき、会社の責任はどこから生じるのか。成立の要件から解説します。

技人国の日本語要件(N2)に届かない社員は、更新できなくなるのか

同じ技人国の更新論点。危ないのはN2の有無ではなく、異動と転職です。

この記事を書いた人

TAMAフロンティア行政書士事務所 代表

毛呂 敦(もろ あつし)

行政書士 毛呂敦 入管業務を専門とする行政書士。警視庁で約20年間勤務し、うち約10年を国際捜査官として入管法実務に従事。現場で得た知見を活かし、東京・多摩地区(ご相談場所は立川駅)を拠点に、外国人のビザ申請と企業の外国人雇用をサポートしています。
行政書士(登録番号 第26081692号)
外国人雇用管理主任者
元警視庁 国際捜査官
TOPIK(韓国語能力試験)上級
技能実習監理責任者講習 受講済



Return Top