外国人従業員が逮捕されたら|会社の初動対応と入管への届出
元警視庁入管法捜査員の行政書士が解説
外国人従業員が逮捕されても、それだけで会社に届出義務は生じません。まず「どの段階か」を特定します
「警察に呼ばれた」は、逮捕とも有罪とも限りません。警察の取扱いには段階があり、段階が違えば会社が取るべき対応も在留資格への影響もまったく異なります。処分が決まる前に雇用を打ち切ることだけは、避けてください。初動で確認すべきこと、届出義務が発生する境目、処分ごとの在留資格への影響を、条文と公式情報に沿って整理します。
外国人を雇用する企業の方の中には、ある日突然「従業員が警察に呼ばれた」という経験をされた方もいると思います。慌てて解雇を決めたり、入管に駆け込んだりする前に、まず確認していただきたいことがあります。警察の取扱いには段階があり、それによって会社が取るべき対応も、在留資格への影響もまったく違うからです。
私は行政書士になる前、警視庁で約20年間勤務し、そのうち約10年間は入管法違反事件の捜査に従事してきました。本記事では、企業が最初の数日で何をすべきかに加えて、取り締まる側が何を調べ、逮捕の情報がどこまで入管に届くのかという視点も含めて整理します。
なお、採用時の在留カード確認から日々の在留管理体制づくりまで、平時からの備えについては外国人雇用の企業サポートでまとめてご案内しています。
※本記事は2026年8月時点の法令・公表情報に基づく一般的な解説です。刑事手続の見通しは弁護士の領分であり、本記事は弁護活動に代わるものではありません。個別の事案では、刑事手続については弁護士に、在留資格については行政書士などの専門家にご相談ください。
目次
この記事のポイント【先に結論】
1.「逮捕された」とは限らない|警察の取扱い5段階と会社への影響
「警察沙汰になった」と一括りにされがちですが、実務上は、取扱いの種類によってまったく重さの段階が異なります。
段階1 その場で事情を聴かれて終わった|事件になっていないケース
110番通報で警察官が臨場し、双方から事情を聴いて現場で解決したケースです。事件化の必要性がないと判断されたものです。警察内部の記録には残ることが多いですが、刑事事件としては存在しないことになります。
段階2 警察署で書面に署名して帰された|微罪処分とは
いわゆる「始末書のようなもの」に署名して終わったケースです。ここは判断が分かれます。
ひとつは微罪処分です。刑事訴訟法第246条ただし書と犯罪捜査規範第198条により、検察官があらかじめ指定した特に軽微な事件は、警察限りで処理し、検察官に送致しません。被疑者への訓戒、被害者への謝罪や弁償、被害者側に処罰意思がないこと、身元引受人の存在などが要件になります(同規範第200条)。
もうひとつは、単なる注意・指導としての署名を求めるものです。これも警察内部の処理であって、刑事事件になっていません。
本人自身も、結局自分がどういう処理をされたのか分かっていない場合が多いでしょう。「サインして帰された」という説明だけでは、どちらなのか判断できないのが実態です。
段階3 指紋と写真を撮られたが帰宅できた|在宅事件(書類送検)
身柄は拘束されていませんが、被疑者として取調べなどの捜査を受けています。事件は書類と証拠とともに検察官へ送致されます(刑事訴訟法第246条本文)。いわゆる「書類送検」です。
ここで多い誤解が二つあります。一つは、指紋や写真を撮られたから逮捕されたのだろう、という思い込みです。もう一つは、送検された=起訴された、という誤解です。送致は検察官に事件を引き継ぐ手続であって、処分が決まったわけではありません。
段階4 逮捕されたが、検察に送致される前に釈放された
逮捕は必ずしも手錠をかけられるとは限りません。抵抗などがなければ任意同行の形で警察署に来て、署内で逮捕手続が取られることもあります。
逮捕後、警察は48時間以内に事件を検察官に送致し、検察官は24時間以内に勾留を請求するかどうかを判断します。勾留請求がされない、あるいは裁判所が認めなければ、その時点で釈放されます。
段階5 勾留された|最大約23日間、出社できなくなる
勾留が決まると、原則10日間、延長されるとさらに最大10日間、身柄拘束が続きます。逮捕からの時間を含めると、最大で約23日間です。
会社にとっては、この期間まったく出社しないことが確定するという、実務上いちばん大きな影響が生じる段階です。
警察の取扱いと在留資格への影響の早見表
| 段階 | 取扱い | 刑事手続・在留資格への影響 | 会社への影響 |
|---|---|---|---|
| 段階1 | 事情聴取のみ | 刑事事件になっていない/在留への影響は原則なし | ほぼなし |
| 段階2 | 微罪処分など | 刑罰ではない/前科はつかない | ほぼなし |
| 段階3 | 在宅事件(書類送検) | 処分はこれから決まる | 欠勤は生じない |
| 段階4 | 逮捕・当日釈放 | 処分はこれから決まる | 短期の欠勤 |
| 段階5 | 勾留 | 処分はこれから決まる/取消手続の端緒になり得る | 最大約23日間の欠勤 |
2.外国人従業員が逮捕されたら、会社が最初に確認する5つのこと
本人と連絡が取れない場合は、家族や同僚から聞き取ります。次の5点が分かれば、以後の対応がやりやすくなります。
- いつ、どこの警察署の取扱いか。署名と部署名まで分かると、その後の照会が楽になります。
- 身柄が拘束されているか、帰宅できているか。前章のどの段階かを特定します。
- 罪名は何か。後の在留資格への影響が、罪名によって大きく変わります。
- 弁護人がついているか。刑事手続は弁護士の領域ですから、行政書士などではなく弁護士に相談してください。
- 在留資格の種類と在留期限。ここは会社であればすぐに把握できるはずです。
5つ目を後回しにする会社が多いのですが、先に確認しておけば、勾留が長引いたときに早めに対処できます。
3.逮捕だけでは入管への届出義務は生じない|届出が必要になる境目
多くの企業が最初に不安に思うのが「すぐ入管に報告しないと、会社が罰せられるのではないか」という点です。ここを整理します。
会社から入管への届出は努力義務(入管法第19条の17)
中長期在留者を受け入れている機関は、受入れの開始と終了、機関の名称や所在地の変更などについて届け出るよう努めなければならない、と定められています。条文上は努力義務です。
そして、届出の事由として挙げられているのは受入れの開始と終了であって、従業員が逮捕されたことは事由に含まれていません。逮捕された、勾留されたという事実だけでは、この届出は発生しません。
なお一般企業の場合、ハローワークへ外国人雇用状況の届出をしていれば、入管への届出は要しないという整理になっています。
解雇・退職したらハローワークへの届出は義務(30万円以下の罰金)
解雇や退職によって雇用関係が終われば、ハローワークへの外国人雇用状況の届出が必要です。こちらは努力義務ではなく義務で、届け出なかった場合は30万円以下の罰金の対象です。
つまり、義務が発生する境目は「逮捕されたとき」ではなく「雇用を終わらせたとき」です。ここを取り違えると、必要のない届出に走ったり、逆に必要な届出を落としたりします。
外国人本人の14日以内の届出は免除されない(入管法第19条の16)
就労系の在留資格の方は、契約が終了したときに14日以内の届出義務があります。届け出なかった場合は20万円以下の罰金の対象です。会社が届け出ても、本人の義務は免除されません。身柄拘束中は本人が届け出られませんので、釈放後に速やかに対応する必要があります。
| 届け出る人 | 届出先 | 性質 | 逮捕・勾留だけで発生するか |
|---|---|---|---|
| 会社(一般企業) | 出入国在留管理庁 | 努力義務 | 発生しない(受入れの開始・終了が事由) |
| 会社(一般企業) | ハローワーク | 義務(30万円以下の罰金) | 発生しない(雇入れ・離職が事由) |
| 会社(特定技能所属機関) | 出入国在留管理庁 | 義務(随時届出) | 就労できない状態が続けば該当し得る |
| 外国人本人 | 出入国在留管理庁 | 義務(20万円以下の罰金) | 発生しない(契約終了から14日以内) |
特定技能・技能実習は「随時届出」が必要|受入れ困難に係る届出とは
特定技能所属機関には、努力義務ではない「随時届出」が課されています。解雇、退職、行方不明は必ず届け出るべき事項とされており、期限は事由の発生から14日以内です。勾留によって就労できない状態が続く場合は、「受入れ困難に係る届出」に該当し得ます。
この届出を落とすと、次回の在留期間更新の不許可や、特定技能外国人の受入れ停止につながることがあります。届出義務を果たしているかどうかは、審査そのものの評価項目だからです。技能実習(2027年4月からは育成就労)でも、実習が困難になった場合の届出があります。
該当するかどうかは事案によりますので、監理団体や登録支援機関、専門家と早めに確認してください。
▶ 監理団体・監理支援機関の方へ
2027年4月1日施行の育成就労制度では、すべての監理支援機関に外部監査人の設置が義務付けられます。許可申請には就任承諾書などの添付が必要です。
▶ 退職・転職に伴う届出については、こちらの記事で詳しく解説しています
4.外国人社員は逮捕されたら解雇できる?|「即解雇」が危ない理由
逮捕の報を受けて、就業規則の懲戒規定を開き、すぐに手続を進めようとする会社があるかもしれません。しかし、ここは慎重にすべきです。
逮捕は有罪ではない|労働契約法第16条の壁
逮捕は、犯罪の疑いがある状態で身柄を確保する手続であって、有罪が確定したわけではありません。実際に不起訴となる事件は珍しくありません。有罪が確定していない段階での解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合は無効となります(労働契約法第16条)。
業務と無関係の私生活上の事案であればなおさらです。また、無断欠勤を理由にしようとしても、身柄を拘束されていて出社できない状態を本人の責めに帰せるかは、別の議論になります。
解雇すると在留資格の取消し事由になり得る(入管法第22条の4)
外国人従業員の場合、ここにもう一つ事情が加わります。解雇すれば、その方は所属先を失います。就労系の在留資格では、その活動を継続して3か月以上行っていないと在留資格の取消しの対象になり得ます(同条第1項第6号)。ただし、正当な理由がある場合は除かれます。
もう一点、見落とされやすい規定があります。同項第5号は、本来の在留資格の活動を行っておらず、かつ他の活動を行い、または行おうとしている場合を取消事由としています。こちらには「3か月」という要件がありません。3か月の経過を待たずに取り消される可能性があるということです。
実務的には、まず休職や自宅待機として扱い、処分が確定してから雇用について判断する、という順序が安全です。会社の判断が、その方の在留そのものに直結すると考えてください。
5.逮捕は在留資格にどう影響する?|不起訴・罰金・拘禁刑で変わる結末
在留資格を失うかどうかを決めるのは、逮捕されたかどうかではありません。最終的にどう終わったかです。
不起訴(起訴猶予・嫌疑不十分)で終わった場合
刑罰を受けていませんので、前科はつきません。退去強制事由にも当たりません。ただし、在留期間の更新申請では、在留状況として事情を説明した方がよい場合があります。
罰金(略式命令)で終わった場合
罰金は刑罰であり、前科がつきます。在留諸申請の申請書にある「犯罪を理由とする処分を受けたことの有無」の欄は「有」となり、必ず記載します。罰金だけで直ちに退去強制になるわけではありませんが、更新審査では素行の評価に影響し得ます。
拘禁刑を受けた場合|執行猶予でも退去強制になるケース
まず、1年を超える拘禁刑の実刑判決を受けた場合は退去強制事由に当たります(入管法第24条第4号リ)。この規定には執行猶予の除外があります。
一方、就労系をはじめとする別表第一の在留資格で在留している方が、窃盗、傷害、詐欺、文書偽造など刑法の特定の章の罪で拘禁刑に処せられた場合は、執行猶予がついていても退去強制事由に当たり得ます(同法第24条第4号の2)。「執行猶予だから大丈夫」という理解は正しくありません。
また、薬物事犯は、執行猶予でも有罪判決を受けた時点で退去強制事由に当たります(同法第24条第4号チ)。
※懲役・禁錮は2025年6月に「拘禁刑」へ一本化されています。
| 最終的な処分 | 前科 | 申請書の「有無」欄 | 退去強制事由への該当 |
|---|---|---|---|
| 不起訴(起訴猶予等) | つかない | 原則「無」 | 該当しない |
| 罰金(略式命令) | つく | 「有」 | 原則該当しない(更新審査では素行に影響) |
| 拘禁刑・執行猶予付き | つく | 「有」 | 罪名によっては該当し得る(第24条第4号の2、薬物は同号チ) |
| 拘禁刑・実刑(1年超) | つく | 「有」 | 該当する(第24条第4号リ) |
「意見聴取通知書」が届いたら会社がすべきこと
在留資格の取消しは、いきなり通知されるわけではありません。入国審査官による事実の調査を経て、まず本人あてに意見聴取通知書が届きます。指定された日に地方出入国在留管理局へ出頭し、意見を述べ、証拠を提出し、資料の閲覧を求めることができます。その後、取り消すかどうかが判断され、結果が通知されます。
つまり、通知書が届いた段階では、まだ説明の機会が残っているということです。ここで会社がすべきなのは、本人から事情を丁寧に聴き取ることです。正当な理由があるにもかかわらず、それが入管側に伝わっていないケースは実際にあります。勾留されていて出社できなかった、会社が休職として扱っていた、といった事情は、会社にしか説明できません。
なお、取消しとなった場合は、原則として最長30日の出国準備期間が指定されます。この期間内に出国しなければ退去強制の対象となり、退去強制されると5年間(過去にも退去強制歴があれば10年間)は日本に入国できなくなります。
▶ 申請書の「犯罪を理由とする処分」欄の書き方は、こちらの記事で解説しています
6.警察から会社に電話・照会が来たら、どこまで答えるべきか
捜査の過程で、警察が勤務先に照会をかけることがあります。在職の有無、勤務期間、業務内容、勤務態度、身元引受けの意思などです。押さえておきたいのは次の三点です。
- 事実だけを答え、推測や評判を足さないこと。「素行が悪いという噂を聞いた」といった主観でも供述調書に残り、量刑の資料になり得ます。
- 照会には任意のものと令状に基づくものがあります。よほどの事情がない限り協力しない理由はありませんので、粛々と応じるのがよいと考えます。
- 対応した日時、担当者、聞かれた内容、渡した書類を記録しておくこと。後日、入管から事情を尋ねられたときに、説明がつきます。
身元引受人になることを求められたら
引き受けるかどうかは会社の判断です。ただし、引き受けた事実は記録に残り、その後の在留審査で「会社が管理を継続している」という材料にもなり得ます。
▶ 企業向けのサポート内容は、こちらのページでご案内しています
就労ビザ(技術・人文知識・国際業務など)のサポート ▶
サービス一覧(取扱業務)を見る ▶
当事務所の強み(元警視庁入管法捜査員の視点) ▶
7.元警視庁捜査員の視点|逮捕の情報は入管に届くのか
会社からよく聞かれたのが「入管には、伝わるのですか」という質問です。実務上は重要な論点です。
通報義務があるのは「退去強制事由に該当すると思われる場合」
国または地方公共団体の職員は、職務を遂行するにあたって退去強制事由に該当すると思われる外国人を知ったときは、入管に通報しなければならないとされています(入管法第62条第2項)。警察官もこれに含まれます。
ここで実務的に大切なのは、通報の対象が「退去強制事由に該当すると思料する外国人」だという点です。逮捕された全員が自動的に入管へ通報されるわけではありません。
段階1で終わった事案を入管が把握しているとは考えにくい一方、拘禁刑や罰金など処分が付されたものはもちろん、逮捕されたが不起訴などになったものについても、入管の審査のテーブルには載っていると考えるべきです。変に隠すのではなく、更新時にきちんと説明することをおすすめします。
会社が本当に警戒すべきは、自社の雇用管理が確認される流れ
捜査の過程で「この人はビザの内容と違う仕事をしているのではないか」などと疑問が生まれることがあります。私が捜査をしていた頃も、別の事件をきっかけに資格外活動や不法就労が判明することは珍しくありませんでした。
つまり会社が本当に警戒すべきなのは、従業員の事件そのものよりも、それを入口に自社の雇用管理が確認される流れです。在留カードの確認記録、業務内容と在留資格の整合、資格外活動許可の有無。ここに穴があれば、何かをきっかけに会社側の問題として表面化しますので、採用段階から雇用環境まで整えておくことが重要です。
不法就労助長罪の厳罰化は2027年4月1日から
不法就労助長罪は、知らなかったという説明では免れにくい構造になっています。改正後は5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金、またはその併科となります。会社が知り得たことですべてアウトになるわけではないと考えますが、現在よりも摘発されるケースが増える流れなのは間違いないでしょう。
▶ 不法就労助長罪と採用時の確認方法は、こちらの記事で解説しています
8.外国人従業員の逮捕|企業の初動対応チェックリスト
9.よくある質問|勾留中の面会・在留期限・給与の扱い(4問)
Q1.勾留中の従業員に、会社から面会や差し入れはできますか?
接見禁止が付いていなければ、家族以外でも面会できるのが原則です。ただし平日の日中のみ、時間も1回15分程度と短く、立会いが付きます。差し入れは現金、衣類、書籍などが可能ですが、警察署ごとに品目や数量の制限が細かく決まっているため、行く前に必ず留置管理の担当へ電話で確認してください。なお接見禁止が付いている場合、弁護人以外は面会できません。弁護人を通じて意思疎通を図ることになります。
Q2.勾留中に在留期限が来てしまいます。ビザ更新はどうなりますか?
在留期限までに更新申請をしていれば、審査中は従前の在留資格のまま在留が認められます(入管法第20条第6項。同法第21条第4項により在留期間更新許可申請に準用。いわゆる「特例期間」)。期限が来ても不法残留にはならず、就労できる範囲も従前どおりです。
問題は、申請前に身柄を拘束され、そのまま期限が到来する場合です。更新申請は本人の出頭が原則ですが、勾留中は現実に出頭できません。期限を過ぎてからの申請は原則として受理されず、不法残留の問題が生じ得ます。
会社としてまずすべきことは、期限が迫っているという事実を弁護人に伝えることです。期限がまだ過ぎていない状態であれば、行政書士などの申請取次者や親族などによる申請が検討できます。
Q3.本人から「日本にある大使館に連絡してほしい」と言われました。会社が対応すべきですか?
会社が動く必要はありません。逮捕された外国人が希望した場合、その国の領事官へ通報することは、領事関係に関するウィーン条約第36条に基づく手続として、警察が行うことになっています。本人が警察に希望を伝えれば足りますので、会社側は、弁護人か留置担当者に確認するだけで十分です。
Q4.事件が実名で報道され、会社名も出ました。何か手続が必要ですか?
報道されたこと自体について、入管などへの届出義務はありませんし、慌てて何かを提出する必要もありません。ただし、報道をきっかけに自社の外国人雇用の状況を問い合わせられる可能性はあるため、採用からの雇用関係の書類を整えておいた方が安全です。また、他の外国人従業員へのケアも早めにされることをおすすめします。
10.まとめ|まず「どの段階か」を特定してから動く
外国人従業員が警察のお世話になったとき、会社が最初にすべきことは、解雇の検討でも、入管への報告でもありません。どの段階の話なのかを把握することです。段階が分かれば、適切な対応がとれるはずです。
そして、逮捕という事実だけでは会社に入管への届出義務は生じません。義務が動き出すのは、雇用を終わらせたときです。在留資格を左右するのも、逮捕の有無ではなく最終的な処分です。不起訴で終われば前科はつきません。処分が決まる前に会社が雇用を打ち切ってしまうと、取り返しがつかなくなることにもなり得ます。
最後に、従業員の事件は、その会社のコンプライアンスが確認されるきっかけにもなります。在留カードの確認記録、在留資格と実際の業務内容の整合。この辺りが整っていれば、会社が矢面に立つ事態はかなりの部分で防げます。
外国人従業員の逮捕・勾留でお困りの企業の方へ
次のような企業の方は、判断を急ぐ前にご相談ください。
初動の順番を、一緒に整理します
当事務所では、元警視庁入管法捜査員としての経験をもとに、警察の取扱いの段階の特定、届出の要否、雇用の取扱い、在留資格への影響について、事実関係を整理したうえで次の一手をご案内します。
判断を急ぐ前に、まずは現在の状況をご相談ください。
無料診断を申し込む ▶
お問い合わせフォームはこちら(24時間受付)
外国人雇用の企業サポート(在留管理体制づくり)を見る
あわせて読みたい記事
【法令・情報の根拠】
- e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法」(第19条の16、第19条の17、第20条第6項、第21条第4項、第22条の4、第24条第4号チ・リ、第24条第4号の2、第62条第2項、第71条の5、第73条の2)
- e-Gov法令検索「刑事訴訟法」(第203条、第205条、第208条、第218条、第246条)
- e-Gov法令検索「犯罪捜査規範」(第198条〜第200条)
- e-Gov法令検索「労働契約法」(第16条)
- e-Gov法令検索「労働施策総合推進法」(第28条)
- 出入国在留管理庁「所属機関等に関する届出・所属機関による届出Q&A」
- 出入国在留管理庁「在留資格の取消し(入管法第22条の4)」(意見聴取・出国準備期間)
- 出入国在留管理庁「特定技能制度」(随時届出・受入れ困難に係る届出、特定技能運用要領)
- 出入国在留管理庁「育成就労制度」(2027年4月施行)
- 出入国在留管理庁「特例期間とは?」
- 厚生労働省「外国人雇用状況の届出について」
- 領事関係に関するウィーン条約(第36条)
※本記事は2026年8月時点の法令・公表情報に基づく一般的な解説です。刑事手続の見通しについては弁護士の領分であり、本記事は弁護活動に代わるものではありません。届出の要否、雇用の取扱い、在留資格への影響は、在留資格の種類や個別の事情により判断されます。法令および運用は変更されることがありますので、実際の対応にあたっては最新の公式情報をご確認ください。
次に読む記事
同じことを繰り返さないために、会社が整えるべき確認体制をまとめています。
従業員本人が、その後のビザ更新で問われる点を解説しています。
TAMAフロンティア行政書士事務所 代表
毛呂 敦(もろ あつし)
|
入管業務を専門とする行政書士。警視庁で約20年間勤務し、うち約10年を国際捜査官として入管法実務に従事。現場で得た知見を活かし、東京・多摩地区(ご相談場所は立川駅)を拠点に、外国人のビザ申請と企業の外国人雇用をサポートしています。 |
