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技人国ビザでN2がない社員は更新できなくなるのか|日本語要件

元警視庁入管法捜査員の行政書士が解説

危ないのは「N2がないこと」ではなく、「仕事の中身が変わったこと」です

2026年4月15日以降の申請から、カテゴリー3・4の企業では、主に言語能力を用いた対人業務に従事する外国人について「CEFR・B2相当の言語能力を証する資料」の提出が求められるようになりました。取扱いが始まって4か月。いよいよ「今いる社員の在留期間更新」が、その最初の実例として出てくる時期です。ここで多くのご担当者が直面するのが、次の悩みです。

企業のご担当者から、こんな声が届いています。

「入社3年目の社員、日常会話は問題ないのですが、N2は不合格のままです」
「今年から営業部に異動させました。これは『対人業務』にあたるのでしょうか」
「うちはカテゴリー3です。社員全員のN2合格証を集めないといけませんか」
「更新を通してから異動させれば、問題ないですよね?」

結論から申し上げると、「N2を持っていない社員は、もう更新できない」わけではありません。ただし、油断してよいという意味でもありません。危ないのは、N2を持っていないこと自体ではなく、前回の申請と、今の仕事の中身が変わっていることです。

私は行政書士になる前、警視庁で約20年間勤務し、そのうち約10年間は入管法違反事件の捜査に従事してきました。申請書の職務内容と、現場で実際に行われている作業が食い違っている——その落差を、捜査の側から数多く見てきました。今回の改正は、その落差を書面の段階で減らそうとするものだと考えています。

技人国(技術・人文知識・国際業務)の必要書類やカテゴリー区分の全体像は、就労ビザ申請|技人国の必要書類・カテゴリーにまとめています。外国人雇用全般の体制づくりは外国人雇用の企業サポートをご覧ください。

※本記事は2026年8月時点の法令・公表情報に基づく一般的な解説です。個別事案の判断は職務内容によって異なりますので、実際の対応にあたっては最新の公式情報をご確認いただくか、専門家へご相談ください。

目次

この記事のポイント【先に結論】

2026年4月15日以降の申請から、カテゴリー3・4の企業では「所属機関の代表者に関する申告書」と、対人業務に主に従事する場合の「CEFR・B2相当の言語能力を有することを証する資料」が求められます。
上陸許可基準を定める省令に「N2」という要件が加わったわけではありません。ただし、単に添付書類が1点増えただけの話でもなく、在留資格に該当するかどうかの判断そのものに関わります。
更新については入管庁が線引きをしています。「以前から継続して同様の業務内容に従事している場合は提出を要しません」。同じ会社で同じ仕事を続けている社員は、N2がないという理由だけで更新できなくなるわけではありません。
引き金になるのは、①カテゴリー3・4であること、②主に言語能力を用いた対人業務であること、更新では③転職・異動などの変化があること、の3つです。
B2相当を示す方法はN2のほかに4つあります。逆に言えば、母国の大学を出て日本の中小企業に就職・転職した社員が、最も対応の必要な層です。

1.技人国の日本語要件は2026年4月15日に何が変わったのか|省令改正ではないが、書類だけの話でもない

変わったのは「明確化」と、必要書類2点の追加です|N2が一律に必須になったわけではありません

まず、事実関係を正確に押さえます。

2026年4月15日、出入国在留管理庁は「『技術・人文知識・国際業務』の在留資格の明確化等について」(平成20年3月策定/最終改定 令和8年4月)を一部改正し、別紙4として「翻訳・通訳業務等の言語能力を用いる対人業務に従事する場合」の考え方を新たに公表しました。あわせて、同庁ホームページの必要書類一覧に、カテゴリー3・4向けの提出書類が2点追加されています。

所属機関の代表者に関する申告書
業務上使用する言語について、CEFR・B2相当の言語能力を有することを証する資料

省令に「N2」という文言は入っていません

技人国の上陸許可基準を定める省令(出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の基準を定める省令)には、いまも「日本語能力試験N2」という文言は入っていません。学歴または実務経験があること、国際業務なら関連業務に3年以上の実務経験があること(大学を卒業した人が翻訳・通訳・語学指導に従事する場合は不要)、日本人が従事する場合と同等額以上の報酬を受けること——この骨格は変わっていません。

それでも「書類が増えただけ」と考えるのは危険です

別紙4は、主に言語能力を用いる対人業務について、B2相当の言語能力を有していることを前提とし、これを有していない場合には技人国に求められる一定水準以上の業務に従事するものとは認められない、という趣旨を明示しています。つまり、提出書類の問題であると同時に、在留資格該当性の判断そのものに関わる話です。

整理すると、省令の要件が増えたのではなく、「専門的な対人業務である」と主張するなら、その前提となる言語能力を客観的に示してください、という判断の枠組みが明文化された。これが今回の本質だと考えています。

カテゴリー1・2の企業も「関係ない」わけではありません

カテゴリー1・2の企業には、この2点の提出は当初から求められていません。ただしこれは提出を省略できるという扱いであって、「日本語ができなくてもよい」という話ではありません。日本語がほとんど話せない方を通訳担当として申請すれば、職務内容そのものの信憑性が疑われますし、審査の過程で資料を求められることもあります。

2.N2がない社員の在留期間更新はどうなるのか|提出が免除される場合を3つのパターンで切り分ける

企業のご担当者が一番知りたいのは、ここだと思います。入管庁は、必要書類の注記で次のように示しています。

「在留期間更新許可申請時において、以前から継続して同様の業務内容に従事している場合は提出を要しません。ただし、審査の中で必要に応じて提出をお願いすることがあります」

更新の3パターン早見表

状況 言語能力の資料 注意点
【1】同じ会社で、同じ業務を継続 原則として不要 資料の省略であって、許可の保証ではありません
【2】同じ会社だが、異動などで職務内容が変わった 必要になる可能性が高い 変わった後の職務が対人業務かどうかで判断されます
【3】転職してきて、御社で最初の更新 最も注意が必要 職務内容が改めて詳しく確認されます

【パターン1】同じ会社で、同じ業務を継続している

言語能力の資料は原則として不要です。3年前に通訳・翻訳担当として許可を受け、いまも同じ職務を続けている社員は、N2の合格証がなくても、いきなり提出を求められるわけではありません。ここが「N2がないと更新できない」という不安との、最大の分かれ目です。

ただし、資料を省略できるという取扱いにすぎず、許可が保証されるわけではありません。実態が申請内容と食い違っていれば、話は別です。

【パターン2】同じ会社だが、異動などで職務内容が変わった

変わった後の職務が対人業務であれば、資料が必要になる可能性が高い場面です。エンジニアとして許可を受けた社員を、適性を見て営業や顧客折衝の担当に移した——実務でいちばん多いのが、このパターンです。

【パターン3】転職してきて、御社で最初の更新を迎える

最も注意が必要です。技人国は特定の会社に固定された在留資格ではありませんから、転職後の活動が技人国の範囲内であれば、転職しただけで直ちに在留資格変更が必要になるわけではありません。ただし、御社での職務は前回の審査の対象になっていません。そのため、最初の更新では、その職務が技人国に該当するかが改めて詳しく確認されます。

提出資料も、労働条件を明示する文書、登記事項証明書、事業内容の資料、直近年度の決算文書などが加わり、対人業務であれば言語能力の資料もここに含まれます(履歴書や卒業証明書は、必要に応じて追加で求められることがあります)。

なお、転職者本人の届出漏れがあると、この最初の更新でつまずきます。14日を過ぎてしまったらもあわせてご確認ください。

全社員に共通して、更新の手間が1点増えています

カテゴリー3・4の企業は、言語能力の資料が不要なパターン1の社員であっても、更新申請の際に「所属機関の代表者に関する申告書」の提出が必要です。これは、代表者が日本人・特別永住者かどうか、それ以外であれば氏名と在留カード番号を記載する、確認のための様式です(誓約書ではありません。ただし、事実と異なる内容を書けば虚偽申請と判断され得る旨の確認文が入っています)。

〔派遣で受け入れている企業の方へ〕派遣形態は別枠で厳格化されています

2026年3月9日の申請分から、派遣元・派遣先双方の誓約書が必要となり、申請時点で派遣先が確定していることが求められます(新規採用者について、採用直後の研修を終えなければ派遣先を決められない場合には、研修内容の資料を提出するなどの例外が示されています)。

更新申請でも、労働者派遣個別契約書、派遣元管理台帳、派遣先管理台帳、就業状況報告書といった資料が求められ、在留期間も派遣契約の期間に応じて判断されます。派遣先企業側の責任が、書面上はっきりと問われる形になりました。

既存社員向けの「経過措置」や提出免除はありますか

入管庁が公表している資料の中に、N2等を持たない既存の在留者へ一定期間の猶予を与えるような、期限付きの経過措置は見当たりません。一方で、以前から同様の業務を継続している更新については資料を原則不要とする取扱いが明記されており、こちらに期限は示されていません。結果として、この取扱いが既存社員を守る役割を果たしている、というのが実態に近い整理です。

なお、パターン1であっても、審査の過程で資料の提出を求められることがあります。実際には、資料提出通知書という書面が届きます。ここで慌てて対応を誤ると、本来通るはずの案件が長引きます。対応の手順は追加資料の出し方と期限にまとめています。

3.CEFR・B2相当を示す5つの方法|N2以外の4つの道と、見落としやすい落とし穴

「CEFR・B2相当」といっても、証明手段はJLPTだけではありません。入管庁は、次のいずれかに該当する場合、B2相当の日本語能力を有するものとみなすとしています。全部で5類型、N2以外に4つの道がある、ということです。

B2相当とみなされる5類型 実務上のポイント
(1)JLPT・N2以上を取得 年2回のみ。2026年第2回は12月6日(日)
(2)BJTビジネス日本語能力テストで400点以上 CBT方式でほぼ毎日受験可能。ただし再受験まで3か月
(3)中長期在留者として20年以上本邦に在留 在留歴で立証。該当者は限られます
(4)本邦の大学卒業、または高等専門学校・専修学校の専門課程/専攻科を修了 専攻科目と業務内容の関連性が求められます
(5)我が国の義務教育を修了し高等学校を卒業 日本の学校歴で立証

最も対応が必要なのは「母国の大学を出た社員」です

この5類型から、警戒すべき層がはっきりします。(4)(5)は日本の学校歴、(3)は長期の在留歴です。裏を返せば、母国の大学を卒業してそのまま日本の中小企業に就職・転職し、公的な語学の証明を持っていない社員が、最も対応が必要な層になります。

落とし穴1|「日本の大学を出ているから安心」とは限りません

別紙4では、この学歴による立証について、専攻科目と業務内容に関連性が認められる場合に限る、という限定が置かれています。卒業証明書を1枚出せば終わり、ではなく、必要に応じて成績証明書やカリキュラムで関連性を説明することになります。

とくに専修学校の専門課程は、上陸許可基準の学歴要件の場面でも、専攻と職務内容に相当程度の関連性が求められます(大学卒業の場合は柔軟に判断されます)。なお、文部科学大臣の認定を受けた認定専修学校専門課程の修了者には、柔軟に判断される取扱いが示されています。

落とし穴2|JLPT(N2)とBJT、受験計画の組み方が違います

JLPTは年2回しか実施されません。2026年の第2回は12月6日(日)で、国内の申込受付は8月24日から9月7日17時までです(受付期間内でも締め切られる場合があります)。

一方、BJTはCBT方式で、テストセンターの空き状況に応じてほぼ毎日受験できます。「更新までに間に合わせたい」という局面では、BJTが現実的な選択肢になることが多いと感じています。ただし、BJTは一度受験すると次の受験まで3か月空ける必要があります。「まず一度受けてみて、だめならすぐ受け直す」ができないという点は、計画を立てるうえで見落とせません。

落とし穴3|問われるのは「日本語」とは限りません

今回の資料は「日本語」ではなく「業務上使用する言語」とされています。社内公用語が英語で、対人業務も英語で行っているのであれば、問われるのは英語の能力です。その言語が本人の母語や母国の公用語である場合の扱いなど、日本語以外のケースは別紙4に整理があります。

4.「うちの営業職は対人業務にあたるのか」|技人国の対人業務の線引き

ここが、今回もっともご相談の多い論点です。

入管庁が例示しているのは、翻訳・通訳と、ホテルのフロント業務等の接客です。そして条件は「主に従事する場合」。裏を返せば、日本語を使う場面が業務の一部にあるというだけでは、直ちに該当するとは限りません。

同じ「営業職」でも、結論は分かれます

日本企業を相手にした提案営業で、商談も契約交渉も日本語で行っているのであれば、対象となる可能性があります。一方で、同じ営業でも、業務の中心が商品知識や市場分析にあり、日本語はその手段にすぎない、という整理が成り立つ場合もあります。海外の取引先とのやり取りが中心であれば、問われるのは日本語ではなく、その業務で使う言語の能力です。ITエンジニアで、開発が業務の中心であり、日本語は打合せで使う程度、という場合も同様です。

ただ、この線引きは、個々の案件による判断が必要なので、一概に数字で線引きできるものではありません。

同じ「営業職」という肩書きでも、雇用契約書の業務欄の書きぶり、職務内容説明書に記載された業務の割合、組織図上の位置づけ、実際の1日の業務配分によって、結論が変わります。私どもがご相談を受けるときも、必ず雇用契約書と職務内容説明書を拝見してから判断しています。

そしてもう一つ。書き方を工夫すれば通る、という話ではありません。書面と実態が一致していることが大前提です。

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5.元警視庁入管法捜査員の視点|審査で見られているのは証明書ではなく業務の実態

捜査の現場で見ていたのは、書類ではなく実態でした。

申請書は「通訳」、現場は厨房——この落差が入り口になります

申請書には「通訳・翻訳業務」と書かれている。しかし実際に会社を訪ねると、その方は厨房で皿を洗い、ホールで配膳をしている。あるいは「生産管理」として許可を受けた方が、毎日ラインで組み立て作業をしている。この落差こそが、在留資格の取消しや、企業側の不法就労助長罪の入り口になります。

2027年4月1日、不法就労助長罪の法定刑が引き上げられます

現在の法定刑は3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金ですが、2024年(令和6年)に公布された改正入管法(令和6年法律第60号)により、2027年4月1日から「5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金」へ引き上げられます(併科もあり得ます)。育成就労制度がスタートするのと同じ日です。「知らなかった」では済まされないという前提が、来年さらに重くなります。

詳しくは知らずに雇った会社も罰せられますで解説しています。

「1日1時間だけ現場を手伝わせる」は許されるのか

よくあるご質問です。時間の長短だけで自動的に線が引かれるわけではありません。すなわち、短時間だからオッケーというものではないということです。

ホテル業務を例に挙げますと、「1日8時間のうち1時間だけ清掃業務をする」というケースも、毎日継続していれば「日常業務」と判断され、技人国の該当性なしとみなされる可能性が高いです。一時的であったり突発的な対応は許容範囲ですが、シフトに組み込まれた業務や毎日一定時間の現業はアウトと考えるべきです。

整えるべき順序を、間違えないでください

今回の言語能力の資料も、こうした落差を書面の段階で炙り出すための道具だと、私は見ています。「専門的な通訳をしている人が、なぜ言語能力を客観的に示せないのか」——審査官が抱くのは、この疑問です。

だからこそ、順序を間違えないでいただきたいのです。N2の合格証があっても、実態がレジ打ちや配膳中心であれば、在留資格該当性は否定されます。整えるべきは、まず実態です。

2026年1月23日に関係閣僚会議が決定した「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」でも、在留資格に該当しない活動への対応と、受入れ機関に対する実態把握の強化が打ち出されました。

「実態を整える」と決めたあとの話
現場作業が多いと、なぜ止まるのか
配置転換に1〜3か月、特定技能への在留資格変更に3〜6か月かかります。何をいつまでに始めるべきかを、在留期限から逆算した時間割にしています。

現地調査に行く人員が、実際に増えています

これは方針だけの話ではありません。2026年7月に入管庁は226人(入国審査官176人、入国警備官50人)の増員を発表しました。法務大臣は会見で、東京出入国在留管理局を中心とする11の官署に、不法滞在者の摘発要員、在留審査に係る実態調査要員、在留審査の迅速化要員として配置すると説明しました。

書面を読む人だけでなく、現地調査に行く人員がわずかながらではありますが増えたということです。現場の実態を確認する流れは、今後さらに強まると考えるのが自然です。

6.技人国の更新前に企業がやること|期限3か月前からの6ステップ

在留期間更新の申請は、6か月以上の在留期間を有する方の場合、在留期間の満了する日のおおむね3か月前から可能です。この3か月を、次の順番で使ってください。

ステップ1|自社のカテゴリーを確認する

前年分の法定調書合計表の源泉徴収税額が判定の基準です。なお、カテゴリー3の企業でも、在留申請オンラインシステムの利用申出の際に「カテゴリー2と同様の添付資料で申請することを希望する機関」として法定調書合計表の写し・登記事項証明書・直近年度の決算文書を提出し、承認を受ければ、カテゴリー2と同様の提出資料で申請できます(利用者IDの有効期限までの扱いです)。中長期的には、これが最も効果的である企業もあります。

ステップ2|更新対象者を3つのパターンに仕分ける

更新期限順に並べ、継続・職務変更・転職後初回のどれに当たるかを分けます。仕分けができれば、必要な準備の量は見えてきます。

ステップ3|学歴・資格を棚卸しする

日本の大学・高専・専門学校の卒業証明、既存のJLPT・BJTの成績。ここで5類型に該当する社員を先に外し、母国の大学を出た社員を優先的に対応します。学歴で立証する場合は、専攻と職務の関連性を説明できるかもあわせて確認します。

ステップ4|書面と実態、そして本人側の事情を突き合わせる

職務内容説明書に書いた業務と、実際の業務配分が一致しているか。あわせて、住居地や所属機関の届出が出ているか、留学時代のアルバイトに超過がなかったかも確認します。更新の可否は、在留状況を含めた相当性の判断だからです。

アルバイトの超過についてはオーバーワークは、なぜ入管に分かるのかで詳しく解説しています。

ステップ5|不足があれば受験計画を立てる

JLPTの直近は12月6日、申込は9月7日まで。間に合わない場合はBJTを検討します。BJTは再受験まで3か月空ける必要があるため、1回目をいつ受けるかが重要です。

ステップ6|転職者は就労資格証明書を検討する

転職者については、更新を待たずに就労資格証明書(入管法第19条の2)で職務内容の適合性を先に確認しておく方法があります。次の更新の見通しが立ち、社内の不安も減ります。転職前後の在留管理については辞めた後、いつまでに動くべきかをご覧ください。

万一、不許可となった場合も、その場で終わりではありません。理由を正確に把握したうえで、立て直す手順があります(不許可になった後、どう再申請するか)。

7.技人国の日本語要件・N2の必須化と免除についてのよくある質問

Q1.N2を持っていない社員がいます。今回の改正で更新は不許可になりますか?

改正を理由に自動的に不許可となる制度ではありません。同じ会社で同じ業務を継続している場合、言語能力の資料は原則として提出不要とされています。

ただし、これは資料の省略であって許可の保証ではありません。審査の中で求められることもあり、その場合は5類型に該当しないかを確認したうえで対応します。

Q2.カテゴリー3ですが、社員はITエンジニアです。言語能力の資料は必要ですか?

言語能力を用いた対人業務に「主に」従事する場合が対象です。開発が中心のエンジニアは、通常は対象になりにくいと考えられます。ただし、顧客との折衝や仕様調整を日本語で担っている場合は、業務の実態から判断する必要があります。

Q3.更新の時期に部署異動が決まっています。どうすればよいですか?

異動を実施する前に、異動後の職務が技人国に該当するか、そしてB2相当の立証が必要な業務かを確認してください。ここを確認せずに配置転換すると、次の更新で説明が立たなくなります。

なお、「更新を通してから異動させればよい」という発想は禁物です。更新後であっても、B2相当を示せない方を主に言語能力を用いる対人業務に就かせてよいことにはなりません。

Q4.当社はカテゴリー1です。日本語能力は問われないと考えて大丈夫ですか?

提出が求められていないだけで、能力そのものが不要になるわけではありません。職務内容と本人の能力が釣り合っているかは、カテゴリーを問わず見られます。

Q5.資料提出通知書で言語能力の資料を求められました。N2がない場合、どうすればいいですか?

まず5類型に該当しないかを確認します。該当しない場合、次に確認すべきは、その職務が本当に「主に言語能力を用いる対人業務」に当たるのかという点です。実態としてそうでないなら、業務の中身を具体的に示して説明することになります。

逆に、実態がまさに対人業務であるなら、専門性をいくら説明してもB2相当の代わりにはなりません。BJT等による立証か、職務配置そのものの見直しが必要になります。

8.まとめ|N2がない社員の更新で、企業が押さえるべきこと

2026年4月15日以降の取扱いは、カテゴリー3・4を対象とするものです。省令に「N2必須」と定められたわけではありませんが、単に書類が増えただけでもありません。主に言語能力を用いる対人業務では、B2相当の言語能力が専門性の前提とされています。
更新は3つのパターンで切り分けます。同じ会社で同じ業務を続けているなら、言語能力の資料は原則として不要です。ただし、許可が保証されるという意味ではありません。
危ないのはN2がないことではなく、転職・異動・職務内容の変化を、書面で説明できないままにしておくことです。
立証の道はN2以外に4つ。まずは学歴の棚卸しから始め、母国の大学を出た社員から手当てしてください。学歴で立証する場合は、専攻と職務の関連性も問われます。
そして最後は、証明書ではなく業務の実態です。捜査の側にいた経験から、これに関しては強く警鐘を鳴らします。
2027年4月1日には、不法就労助長罪の法定刑が5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金に引き上げられます。実態を整える作業は、その備えでもあります。

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【法令・情報の根拠】

※本記事は2026年8月時点の法令・公表情報に基づく一般的な解説です。技人国の該当性は職務内容の実態によって個別に判断され、記載した実務の考え方は筆者の経験に基づくものです。法令および運用は変更されることがありますので、実際の対応にあたっては最新の公式情報をご確認いただくか、専門家へご相談ください。

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この記事を書いた人

TAMAフロンティア行政書士事務所 代表

毛呂 敦(もろ あつし)

行政書士 毛呂敦 入管業務を専門とする行政書士。警視庁で約20年間勤務し、うち約10年を国際捜査官として入管法実務に従事。現場で得た知見を活かし、東京・多摩地区(ご相談場所は立川駅)を拠点に、外国人のビザ申請と企業の外国人雇用をサポートしています。
行政書士(登録番号 第26081692号)
外国人雇用管理主任者
元警視庁 国際捜査官
TOPIK(韓国語能力試験)上級
技能実習監理責任者講習 受講済



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