育成就労の受入れ企業がやること|計画認定申請はいつまでに出すか
元警視庁入管法捜査員の行政書士が解説
育成就労計画の認定申請は、2026年9月1日に受付開始。2027年4月の受入れなら9〜11月が目安です
2027年4月1日に育成就労制度が施行されます。監理支援機関の許可申請は2026年4月15日にすでに受付が始まりましたが、受入れ企業側の手続はこれからです。育成就労計画の認定申請は、2026年9月1日から受付開始。分野の確認から3点セットの設計、体制づくり、技能実習からの切り替えまで、条文と公式情報に沿って整理します。
受入企業の方から、以下のような不安の声を聞くことがあります。
先に結論をお伝えします。9月1日は締切ではありませんが、2027年4月1日から受け入れたいのであれば、事実上のスタートラインです。運用要領は、施行日前申請について「原則として育成就労開始予定日の7か月前から5か月前までに申請を行ってください」としています。2027年4月1日から逆算すると、2026年9月1日から11月1日まで。受付開始日と、推奨される申請期間の始まりが、ちょうど重なっています。
また、育成就労計画は、監理支援機関が作って企業が名前を書く書類ではありません。3年間の育成・教育・処遇を、企業が数字で背負う計画書です。
私は行政書士になる前、警視庁で約20年間勤務し、うち約10年間は入管法違反事件の捜査に従事してきました。書かれた計画と現場の実態がどう突き合わされるのかを見てきた立場から、受入れ企業が今月から何をすべきかを整理します。
当事務所では、分野・業務区分の適合診断から育成就労計画の作成・申請、監理支援機関との調整までお受けしています。料金とサポート範囲は監理支援機関・登録支援機関サポートと外国人雇用 企業サポートで公開しています。
※本記事は2026年8月時点の法令・公表情報に基づく一般的な解説です。育成就労制度は施行前であり、様式・手数料・分野別のルールは今後変更・追加される可能性があります。個別の判断は最新の公式情報をご確認いただくか、専門家へご相談ください。
目次
この記事のポイント【先に結論】
1.2026年9月1日から何が始まるのか|逆算のスケジュール
| 時期 | できごと |
|---|---|
| 2026年4月15日 | 監理支援機関の許可の施行日前申請が受付開始 |
| 2026年8月 | 育成就労制度運用要領が一部改正(8月版) |
| 2026年9月1日 | 育成就労計画認定の施行日前申請が受付開始 |
| 2026年9月〜11月 | 施行日からの受入れを狙う場合の申請推奨期間(開始予定日の7〜5か月前) |
| 2027年4月1日 | 育成就労制度が施行。施行日前申請の結果は、同日以降に順次郵送 |
9月1日は「締切」ではありません。ただし──
外国人技能実習機構(施行後は外国人育成就労機構)の案内では、9月1日以降に到着するよう送付することとされており、この日より前に出しても受け付けられません。逆に、9月1日を過ぎても申請自体は随時できます。
問題は、審査の順番です。全国の受入れ企業が同じ時期に、しかも1人につき1件の計画を出します。標準的な審査期間は現時点で公表されていません。運用要領が7〜5か月前という幅を示しているのは、この混雑を織り込んだものと読むべきです。11月を過ぎてからの申請は、「2027年4月1日の受入れに間に合わない可能性が高まる」と理解した方がいいです。
なお施行後の平時は、開始予定日の6か月前から申請でき、原則として4か月前までに申請することが必要です。施行日前申請の「7〜5か月前」は、これを1か月ずつ前倒しした特例だと考えると整理しやすいでしょう。
▶ 連携先となる監理支援機関の側のスケジュールは、こちらで解説しています。
許可申請の要件と費用
2.最初の分岐|自社の業務が「育成就労産業分野」に入っているか
計画の中身に入る前に、確かめることがあります。自社が外国人に従事させる業務が、育成就労産業分野の、どの業務区分に載るかです。
育成就労産業分野は、2026年1月23日に閣議決定された分野別運用方針で定められました。特定技能の対象分野のうち、航空分野と自動車運送業分野は育成就労の対象外です。介護、ビルクリーニング、工業製品製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業、林業、木材産業、鉄道、資源循環、物流倉庫、リネンサプライの17分野が対象となります。
ここで見落とされやすいのが、分野別の上乗せルールです。分野ごとに上乗せ基準を定める告示が出され、さらに分野別運用要領も順次公表されています。2026年8月時点では、17分野のうち7分野(ビルクリーニング、リネンサプライ、外食業、工業製品製造業、木材産業、自動車整備、鉄道)の運用要領が公表されている段階です。機構も「認定申請前に、上乗せ基準を規定する告示の内容及び分野別の運用要領等を確認いただき、必要な資料をすべてそろえてから申請してください」と明記しています。自社の分野の運用要領がまだ出ていない場合は、告示と分野別運用方針で設計を固めつつ、公表を待って最終確認する流れになります。
また、育成就労は3年間で特定技能1号の水準に届かせる制度です。3年後にどの業務区分で特定技能1号へ接続するのか、出口から逆算して選んでください。
3.元警視庁捜査員の視点|計画書は、3年後に照合される「調書」です
ここが、この記事でいちばんお伝えしたい部分です。
技能実習の時代、私が現場で見てきた事件の多くは、「計画に書いてあること」と「現場でやっていること」のズレから始まっていました。計画では溶接の必須業務に一定の時間を充てることになっているのに、実際は毎日の梱包と清掃。計画では日本語講習を実施することになっているのに、教材が箱のまま倉庫に積まれている。
入管業務に限らないですが、こうした隠ぺいは、たいてい別の入口から明るみになります。本人が母国語相談に電話をかける。近隣とのトラブルで警察が事情を聞く。労働基準監督署が別件で入る。失踪者が出て、行方不明の状況を説明する場面になる。そのとき必ず取り寄せられるのが、認定を受けた計画書です。
計画書は、申請の日に一度だけ読まれる書類ではありません。3年間、何かあるたびに現場の実態と照合される文書です。捜査の言葉で言えば、先に取った供述調書のようなもの。あとから「あれは形式的に書いただけです」という説明は通りません。
育成就労では、照合がより厳しくなります
理由は3つあります。
だからこそ、計画は「通しやすい書き方」ではなく「3年間守り切れる内容」で作ってください。監理支援機関が下書きをするとしても、守るのは現場です。必須業務の時間配分は本当に回るのか、日本語講習100時間分の就業調整はどうするのか。この2点は経営判断として決めてから申請してください。
▶ なぜ元捜査員が入管業務を専門にしているのか、どんな視点で書類を組み立てているのかは、こちらに書いています。
元捜査員が行政書士になった理由/当事務所の強み
4.育成就労計画の3点セット|技能・日本語・転籍制限
分野・業務区分が固まったら、計画の骨格を設計します。中心になるのは3つです。
| 3点セット | 計画に定める到達目標 | 企業が背負う役割 |
|---|---|---|
| 技能目標 | 1年目=基礎級(初級)/3年目=3級(専門級)または特定技能1号評価試験 | 業務区分ごとの試験に向けた育成と、受験機会の確保 |
| 日本語目標 | 就労開始前にA1相当/3年間でA2相当(分野により上乗せ) | A2相当講習100時間以上の受講機会の提供。費用負担と環境整備を含む |
| 転籍制限期間 | 分野別に1年〜2年(企業判断で1年に短縮可) | 1年を超える設定なら、1年経過後の昇給等の待遇向上 |
(1)技能の目標
育成就労が終わったときに到達すべき技能の水準として、次のいずれかを設定します(規則第13条)。
どの試験を目標にできるかは、分野・業務区分ごとに分野別運用方針で決まっています。必ず確認してください。3年後の目標に加えて、育成就労の期間の合計が1年に達するまでに、基礎級の技能検定またはこれに相当する育成就労評価試験(初級)を受験させる必要があります。3年目の試験は実技のみでよく学科は任意ですが、1年目の試験は実技と学科の両方の受験が求められます。
(2)日本語の目標
3年間で、日本語教育の参照枠のA2相当が原則です。分野によってはこれより高い水準が設定されます。
企業側の負担として重いのは、講習の受講機会を提供する義務です。3年間のうちに、A2相当を目標とする認定日本語教育機関の「就労のための課程」による講習を100時間以上受講させなければなりません。受講費用の負担と、受講できる環境の整備まで含まれます(すでにA2相当の試験に合格している場合などは免除)。
就労開始前の段階では、A1相当が前提です。認定申請の時点でA1相当の試験に合格していることを証明できない場合、入国後講習は総時間320時間以上(入国前に160時間以上の入国前講習を受けていれば入国後160時間以上)となり、そのうちA1相当講習を100時間以上受ける必要があります。合格を証明できる場合は総時間220時間以上(同じく入国前に110時間以上受けていれば入国後110時間以上)です。いずれの場合も、法的保護に関する科目8時間以上が含まれます。
入国前にA1相当を取れているかどうかで、講習の設計と費用が大きく変わるということです。送出しの段階から関わる論点になります。
(3)転籍制限期間
本人の意向による転籍ができるようになるまでの期間で、分野別運用方針が1年以上2年以下の範囲で定めます。分野が2年と定めていても、企業の判断で1年に短縮することは可能です。
注意点は2つ。1年を超える期間を設定する場合は、1年経過後の昇給など、分野別運用方針が定める待遇向上を計画に盛り込む義務が生じます。そして、同じ会社で受け入れる外国人ごとに違う転籍制限期間を定めることは、不当な取扱いに当たるとされています。運用要領が名指しで例示している論点です。
なお、転籍制限期間を長く置いたからといって人が残るとは限りません。処遇と職場環境が伴わなければ、期間が明けた時点で動きます。制限期間は定着策の代わりにはならない、という前提で設計してください。
5.業務の中身にも数値基準がある|必須業務3分の1・安全衛生10分の1
計画には、従事させる業務の内容と時間配分を書きます。ここに数値基準があります(規則第13条第2項第2号)。
「必須業務」とは、修得させる技能に係る技能検定等の試験範囲に基づき、必ず行わなければならない業務をいいます。業務区分ごとに定められた「主たる技能」の中から修得させるものを選び、そのために必要な業務が必須業務になります。
技能実習との違いも押さえてください。技能実習にあった「関連業務」「周辺業務」という概念と、それぞれの時間上限はなくなりました。必須業務と安全衛生業務以外は、業務区分内の業務またはこれに関連する業務であれば従事させられます。自由度は上がりましたが、必須業務3分の1という下限は動きません。
さらに、時間配分の「均し方」も見られます。運用要領は、合計時間は満たしているものの月ごとの配分が特段の理由もなく著しく不均衡な場合(1年目に技能試験があるのに、基準時間の達成が1年目の終了直前になっているなど)は基準を満たさない、としています。3年分の帳尻を合わせればよい、という設計は認められません。
6.体制づくり|選任する3人と、受け入れられる人数
事業所ごとに3つの役割を選任する
育成就労を行わせる事業所ごとに、次の3者を選任します。
育成就労責任者(法第9条第1項第6号)
計画の作成、技能・日本語能力の評価、届出・報告、帳簿の作成、監理支援機関との連絡調整、外国人の保護、労働条件・産業安全衛生などを統括管理します。指導員や生活相談員を監督できる立場の者である必要があり、経験の少ない新人職員を充てることは認められません。事業所に所属している必要はありません。
育成就労指導員(規則第15条第1項第2号)
事業所に所属し、従事させる業務に要する技能について、認定申請の時点で5年以上の経験を有する者を1名以上。この5年は自社での経験に限られず、他社での経験も算入できます。
生活相談員(規則第15条第1項第3号)
事業所に所属する者から1名以上。生活面の相談に応じます。
3者に共通して、過去3年以内にそれぞれの役職に対応する養成講習を修了していること、欠格事由に該当しないこと、未成年者でないことが必要です。講習は日程の確保が要りますから、誰を充てるかは早めに決めてください。
受け入れられる人数には上限がある【人数枠の早見表】
同時に受け入れられる育成就労外国人の数は、常勤職員の総数に応じて決まります(規則第19条)。監理型の場合の基本人数枠は、次のとおりです。
| 常勤職員の総数 | 基本人数枠 | 優良と認められた場合 |
|---|---|---|
| 1人 | 3人 | 6人 |
| 2人 | 6人 | 12人 |
| 3〜30人 | 9人 | 18人 |
| 31〜40人 | 12人 | 24人 |
| 41〜50人 | 15人 | 30人 |
| 51〜100人 | 18人 | 36人 |
| 101〜200人 | 30人 | 60人 |
| 201〜300人 | 45人 | 90人 |
| 301人以上 | 常勤職員総数の20分の3 | 常勤職員総数の10分の3 |
技能実習の人数枠を覚えている方は、数字がおよそ3倍になっていることに気づくと思います。技能実習は1号・2号・3号と段階ごとに枠が設定されていましたが、育成就労は当初から3年間の計画で認定を受けるため、3年分をまとめた枠になっているためです。
注意点が2つあります。ひとつは、ここでいう常勤職員の数が、事業所単位ではなく法人全体の数だということ。もうひとつは、この常勤職員のカウントに育成就労外国人を含めないことです(規則第19条第1項第1号)。「外国人を増やせば枠も増える」という計算は成り立ちません。
7.認定されない典型|非自発的離職者と、待遇の落とし穴
過去1年の離職者が、受入れを止めることがあります
見落とされやすい要件です。認定申請の過去1年以内に、申請に係る外国人に従事させる業務と同種の業務に従事していた労働者を離職させていないことが求められます(規則第15条第1項第10号ロ)。
除外されるのは、①定年等による離職、②本人の責めに帰すべき重大な理由による離職、③有期労働契約の期間満了に伴う不更新による離職(一定の場合に限る)、④自発的な離職の4類型だけです。これに当たらない離職者が1名でもいれば、基準に適合しません。人員整理のための希望退職の募集や退職勧奨、賃金不払いや過度な時間外労働を理由とする離職、ハラスメントを理由とする離職、正当な理由のない雇止めは、いずれも非自発的離職として扱われます。
重要なのは、受入れ後も続くことです。育成就労外国人を雇用している間に非自発的離職者を発生させた場合は、認定の取消し対象になります。人員整理を検討している企業は、受入れの時期と併せて判断してください。
待遇の基準
報酬は、日本人が同じ業務に従事する場合の報酬の額と同等以上であることが必要です。加えて、一時帰国を希望した場合に必要な有給休暇を取得させること、宿泊施設や徴収費用について書面で説明することなども求められます。複数の育成就労外国人を雇用している場合に、不当に異なる取扱いをすることも認められません。分野によっては、告示で上乗せの基準が定められています。
▶ 2027年4月1日には、育成就労の施行とあわせて不法就労助長罪の罰則も引き上げられます(5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金)。
「知らなかった」では済みません/採用時、カードのどこを見るか
8.技能実習からの切り替え|「通算3年」の壁に注意
いま技能実習生を受け入れている企業にとって、いちばん実務上重要な論点です。
原則として、技能実習を行っていた期間は、育成就労の対象となっていた期間とみなされます(改正法附則第11条第1項)。そのうえで、育成就労の期間は、みなされた期間と通算して3年以内であることが認定基準になります(法第9条の3第2号)。
つまり、技能実習を2年行った人を育成就労に切り替える場合、育成就労として認められるのは残りの1年です。「実習を修了したから、あらためて3年」という設計はできません。この場合の申請には、通常の様式ではなく育成就労計画認定申請書(旧技能実習生に係る法第8条の6第1項関係/省令様式第3号(2))を使います。
一方で例外もあります。従前の技能実習計画に定められていた目標の試験と同一または相当する試験が育成就労評価試験として指定されていない場合などは、技能実習の期間を考慮せずに育成就労を行わせることができ、通常の様式(省令様式第1号)で3年の計画を申請できます。両制度の目標試験の対応関係は、分野ごとに別途示されることになっています。
もうひとつ、時期の問題があります。改正法附則第9条により、施行日前に認定を受けた技能実習計画に基づく技能実習は従前の例により継続しますが、この規定によって2027年4月1日以降も技能実習を行っている人は、いったん出国しない限り育成就労に移ることができません(再入国許可を受けて出国した場合を除きます)。
なお、技能実習制度に基づく1号技能実習計画の認定申請は、2027年2月までに行うよう機構から案内が出ています。技能実習を続けるのか育成就労に切り替えるのかは、この2つの期限を並べて判断してください。
9.申請の実務|どこに、何を、いくらかかるか
提出先
申請者の住所地(法人の場合は本店の所在地)を担当する、外国人技能実習機構の地方事務所・支所です。監理支援機関の許可申請が本部の分室宛てだったのと違い、こちらは地方事務所・支所です。本部ではありません。
主な書類
計画は、育成就労外国人ごとに作成します。認定申請書(省令様式第1号)のほか、参考様式として次のようなものがあります。
なお、健康状態が良好であることを証明する資料は、認定申請の日を起算日として過去3か月以内に発行されたものである必要があります(2026年8月の運用要領改正で明確化されました)。結核非発病証明書を出す場合も同じで、証明書の有効期間が180日あるからと油断すると出し直しになります。
機構は「提出書類一覧・確認表」も提出書類であると案内しています。公表され次第、必ず確認してください。
費用と相談窓口
認定手数料は、機構の口座への払込みで納付します(規則第91条第2項)。額と払込方法は機構が別途案内するとされており、2026年8月時点では「おって掲載予定」の段階です。監理支援機関の許可申請に係る調査手数料の案内サイトとは別ですので、混同しないでください。
なお、納付した手数料は返還されません(規則第91条第3項)。取り下げても戻らないということです。出す前の確認に時間をかける理由は、ここにもあります。
施行日前申請(監理支援機関許可・育成就労計画認定)コールセンターも設置されています。0570-011-300、平日9時から17時までです。
▶ 連携先の監理支援機関には、外部監査人の設置が義務づけられます。受入れ企業への監査に同行する立場の人です。
外部監査人の4つの要件
10.受入れ企業の準備チェックリスト
11.よくある質問|育成就労計画について
Q1.9月1日を過ぎたら、もう2027年4月の受入れには間に合いませんか?
9月1日は締切ではありません。11月1日も法律上の期限ではなく、運用要領が示す推奨期間の終わりです。ただ、標準的な審査期間は公表されておらず、全国の申請が集中する時期でもあります。書類に不備があれば、その分だけ後ろに回ります。9月から11月の間に、不備のない状態で出す。これが現実的な目標です。
Q2.育成就労計画は、監理支援機関が作ってくれるのではないのですか?
監理型育成就労では、育成就労実施者は監理支援機関の指導に基づいて計画を作成します(法第8条第5項)。ただし、作成し、認定を受け、そのとおりに実行する義務を負うのは企業です。監理支援機関は指導する立場であって、代わりに責任を負う立場ではありません。必須業務の時間配分と日本語講習の実施方法は、現場が回せるかどうかの問題ですから、企業側で判断してください。
Q3.1人だけ受け入れる場合でも、同じだけの準備が必要ですか?
必要です。計画は外国人ごとに作りますし、責任者・指導員・生活相談員の選任も、日本語講習100時間の手配も、人数にかかわらず発生します。固定的な負担が大きく、少人数ほど1人あたりのコストが重くなる制度設計です。受入れ人数を決める前に試算しておくことをおすすめします。
Q4.転籍制限期間を2年にすれば、途中で辞められずに済みますか?
分野別運用方針が2年と定めている分野なら設定できますが、その場合は1年経過後の昇給など、分野別運用方針が定める待遇向上を計画に盛り込む義務が生じます。また、期間が明けた後に動く人を止める仕組みではありませんし、やむを得ない事情がある場合の転籍は制限期間中でも認められます。制限期間の長さより、処遇と職場環境のほうが定着に効く、というのが実務の感覚です。
Q5.認定を受けたあと、計画の内容が変わったらどうなりますか?
内容に応じて、変更の認定申請または軽微変更の届出が必要です。たとえば認定後・入国前に本人がA1相当の日本語試験に合格した場合は、入国後講習の時間が変わるため、軽微変更届出書を機構の地方事務所・支所へ提出します。「実態が変わったのに計画はそのまま」という状態は危険です。
12.まとめ|9月1日は締切ではなく、設計を終える期限
育成就労計画の認定申請は、2026年9月1日に受付が始まりました。2027年4月1日からの受入れを考えるなら、9月から11月が事実上の申請期間です。
ただ、日付そのものより重いのは中身です。分野と業務区分を確定し、技能・日本語・転籍制限の3点セットを決め、必須業務3分の1と安全衛生10分の1を満たす業務スケジュールを組み、責任者・指導員・生活相談員を選任し、日本語講習100時間の費用と時間を確保する。ここまで決まって、はじめて申請書が書けます。
そして、書いた内容は3年間残ります。計画書は申請の日に一度読まれるだけの書類ではなく、何かあるたびに現場と照合される文書です。通しやすさで書くのではなく、守り切れる内容で書いてください。
技能実習生を受け入れている企業には、もうひとつ判断があります。通算3年の壁と、2027年2月という1号技能実習計画の申請期限。この2つを並べて、いつ、どちらの制度で受け入れるかを決めることです。
準備の順番を間違えなければ、9月からの申請は十分に間に合います。まずは、自社の分野の告示と運用要領を開くところからです。
育成就労の受入れ準備でお困りの企業の方へ
次のような段階の企業さまは、申請書を書き始める前にご相談ください。「うちは対象になるのか」というところからで構いません。
当事務所は入管業務を専門とする行政書士事務所です。元警視庁入管法捜査員として入管法違反事件の捜査に約10年間従事した経験をもとに、要件の適合診断から育成就労計画の作成・申請、審査中の照会対応、監理支援機関との調整までご案内します。料金は料金ページで公開しています。
まずは、自社が育成就労の対象になるかを確かめましょう
分野・業務区分の適合、人数枠、体制要件、非自発的離職者の有無まで、初回相談(60分・無料)でご案内します。
オンラインでも対応します。
あわせて読みたい記事
【法令・情報の根拠】
- 外国人の育成就労の適正な実施及び育成就労外国人の保護に関する法律(第8条、第8条の6、第9条、第9条の3、第10条、第11条、第16条、第20条、第21条)/出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律 附則(第9条、第11条)
- 同法施行規則(第9条、第13条、第14条、第15条、第16条、第18条、第19条、第91条)
- 出入国在留管理庁・厚生労働省「育成就労制度運用要領」第4章(令和8年8月改正版)/「育成就労制度運用要領の一部改正について」(令和8年4月6日、令和8年8月)
- 「特定技能の在留資格に係る制度及び育成就労制度の適正な実施を図るための分野別運用方針」(令和8年1月23日閣議決定)
- 外国人技能実習機構「育成就労計画認定施行日前申請」(令和8年8月5日更新)/「よくあるご質問」(令和8年8月5日更新)
- 出入国在留管理庁「育成就労制度」(2027年4月1日施行)
※本記事は2026年8月時点の法令・公表情報に基づく一般的な解説です。育成就労制度は2027年4月1日の施行前であり、申請様式、提出書類一覧、手数料の額、分野別運用要領の内容は今後変更・追加される可能性があります。分野ごとの上乗せ基準により、本記事の記載と異なる取扱いとなる場合があります。実際の申請にあたっては、外国人技能実習機構の最新の公表情報をご確認いただくか、専門家へご相談ください。
次に読む記事
連携先となる監理支援機関が、いつまでに何をしているのか。企業側から見た確認ポイントも整理しています。
監理支援機関に義務づけられる外部監査。受入れ企業の監査に同行する立場の人です。
TAMAフロンティア行政書士事務所 代表
毛呂 敦(もろ あつし)
|
入管業務を専門とする行政書士。警視庁で約20年間勤務し、うち約10年を国際捜査官として入管法実務に従事。現場で得た知見を活かし、東京・多摩地区(ご相談場所は立川駅)を拠点に、外国人のビザ申請と企業の外国人雇用をサポートしています。 |
